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2026年02月25日09:32

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2/14 ロックフェラー・コレクション 花鳥版画展 北斎、広重を中心に@千葉市美術館

体調不良につき遠出は控えた方が良かったが、どうしても行きたいと思った本展覧会。浮世絵というと、美人画、役者絵、風景画を思い浮かべるだろうが、すみだ北斎美術館などで北斎の「花鳥画」を見て、あまりの美しさにもっと沢山見たいものだと思っていたのだ。これは逃せない。



浮世絵の特徴は「当世風」であること。今人気の花魁や役者、流行りの髪型や着物の柄、旅行ブームに乗って名所、宿場の風景画…だけれど、こういった絵は「旬」が命なので、売れない、あるいはブームが去れば、すぐ撤収。だけれど、花鳥画は安定したニーズがあり、特に普段から和漢の花鳥画に親しんでいた武士階級が、ちょうど国元に帰る通り道(本屋は宿場の芝神明付近に集中)で土産に買って行く。版元も店に長く置いておけるのでメリットがあったそうだ。

西洋でのジャポニズムの流行は、北斎の富嶽三十六景や広重の東海道五十三次の斬新な構図や目を引くエキゾチックな風物に因るものだけではないと思う。瑞々しい花と愛らしい鳥を組み合わせた花鳥画は、花瓶に挿した花や狩猟の獲物であった死んだ鳥の静物画を見慣れた西欧人にとっては、さぞ新鮮であっただろうし、生きとし生けるものを愛する心に感銘を受けたこととと思われる。

浮世絵版画は反故紙にしていたものを海外で評判となり見直された形になったが、花鳥版画の価値もこのロックフェラー・コレクションの展示を機会にもっと高く再評価されるといい。

160余点というボリューム、撮影可は10点ほど。この日は、さや堂ホールで「浮世絵の摺実演」があったせいか、その前の時間までは結構人が入っていた。第2会場途中から、千葉市美コレクション「うるわしき刷物」展となるが、こちらは撮影可で、内容も大変見応えのあるもの、常設展と合わせると、時間がいくらあっても足りない。遠いのが難である。

アルバムあります
https://photo.mixi.jp/view_album.pl?album_id=500000121413066&owner_id=2083345

開館30周年記念 ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン所蔵「ロックフェラー・コレクション花鳥版画展 北斎、広重を中心に」
https://www.ccma-net.jp/exhibitions/special/26-1-17-3-1/
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モダン・レディが恋した、可憐な浮世絵
花や鳥を主題とした浮世絵「花鳥版画」。美しくも可憐な花鳥を、季節のうつろいとともに描いたこれらの作品は、葛飾北斎や歌川広重が活躍した時代に数多く制作されました。
米国ロードアイランド州に位置するロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(通称・RISD美術館)には、こうした花鳥版画が大半を占める「ロックフェラー・コレクション」が所蔵されています。アメリカの名門ロックフェラー家の一員、アビー・オルドリッチ・ロックフェラー(1874-1948)によって収集・寄贈されたもので、浮世絵の中でも役者絵や風景画、美人画ではなく花鳥版画を中心に据えた点で、世界的にも稀有なコレクションです。
本展では、同コレクション700点あまりから163点を厳選して紹介します。花や鳥の種類、制作した絵師、作品のかたち、どれをとっても多彩な作品の数々。みずからも慈善家として活躍したアビーは花鳥版画、ひいては日本そのものに恋をし、これらの作品に囲まれて過ごしていました。そんなアビーの眼差しをとおして、アメリカでの受容に加え、日本で作品が生まれ、愛された時代の空気にまでも触れていただけるでしょう。
このたびは、北斎、広重をはじめとする浮世絵師たちによる花鳥版画を一堂に鑑賞することができる、希少な機会となります。親しみやすく見ごたえのある花鳥版画の世界を、ぜひご覧ください。



プロローグ アビー・オルドリッチ・ロックフェラーと花鳥版画の出会い

20世紀最大の富豪ロックフェラー家当主の妻にして、ニューヨーク社交界の花形だったアビー・オルドリッチ・ロックフェラーは、ニューヨーク近代美術館の設立、発展に尽力したことは有名だが、1916年広重の花鳥版画(大短冊判錦絵)の購入を初めとして700点余の花鳥版画を収集した。
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第1章 花鳥版画を手がけた浮世絵師たち
天保以前の花鳥版画

無款(西村重長)《かも》享保中期頃
最初期に購入。細判漆絵
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無款(鈴木春信)《秋海棠に蝶と猫》明和4年頃
見たことはあったが、当コレクションのは色が鮮やかだった
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磯田湖龍斎《雪芦に白鷺》安永前期
白鷺は輪郭線無しの空摺。白とピンクとブルーの色彩が柔らかでいい
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磯田湖龍斎《牡丹に金鶏》安永期
柱絵という細長い判。拓本のような石摺絵で、コントラストが見事
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渓斎英泉《一富士二鷹三茄子》天保中期頃*写真撮影可
ベロ藍(プルシアンブルー)に黄色
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第2章 広重花鳥版画の華ー大短冊判花鳥版画を中心に

広重の花鳥版画のコレクションはなんと300点
広重は花鳥画を「版本」から「一枚絵」に成立させた絵師で、鷹や鴛鴦などを題材にした伝統的水墨画や、中国趣味で吉祥を意味する南蘋派の絵画を版画に取り入れた。

歌川広重《雪中椿に雀》天保3−6年*撮影可
背景が灰色一色のこの版が初版。
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雀の正面顔が、まるでにっこりしているみたいで可愛らしい。胸のふわふわした羽は空摺で表現
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後版は、背景に雪を降らせ青色のぼかし摺にしている
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どちらもそれぞれに良い。何度も再販された人気作品

歌川広重《朝顔に鶏と傘》天保3−6年
ふんわり愛らしい作品も良いが、こちらのようにパッキーンとした色調で、粋な切り取り方の作品も好きだ
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歌川広重《梅に四十雀/雪芦に鴛鴦》天保末期
2図がつながった版下絵。下絵は板に貼って一緒に彫ってしまうので現存することが極めて少ない。迷いのない筆捌きが見事。
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第3章 北斎と北斎派の花鳥版画
北斎は、《富嶽三十六景》と同時期に、西村屋与八と一緒に大判花鳥画10図を出している。

葛飾北斎《牡丹に蝶》天保2-3年
大風に靡く牡丹の花と蝶。牡丹の花弁や葉は緻密だが、蝶々の文様がデザイン的で可愛い
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葛飾北斎《子規 杜鵑花(ホトトギス サツキ)》天保5年頃
空の青、雲の白、花の赤が目に鮮やか。現代的な構図だ。
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葛飾北斎《鷽(ウソ)垂桜》天保5年頃 *写真撮影可
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画像はないが、魚屋北渓や岳亭春信、窪俊満の摺物が美しかった。


第4章 季節の風情「団扇絵」の名品

広重は80点の団扇絵を制作したが、そのうち30点をコレクションしている。
団扇絵コレクションの中には、団扇に仕立て使用したものまでもある。大抵は残っていないので貴重だ。

葛飾北斎《露草に鶏》天保3年頃*写真撮影可
雌鶏の上に1羽、腹の下に2羽のひよこがいて、雄鶏の尾が弧を描いて家族を守るかのよう。鶏の目は可愛くない(笑)が、露草の花の藍と青から緑へのぼかしで、素敵な団扇だ。
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歌川貞秀《花鳥揃之内 米の花に雀》天保4年
貞秀は初見または記憶がないが、この団扇の図は面白い
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歌川広重《燕のことろ遊び》寛永期*写真撮影可
ことろ遊びは「子獲ろう」なんですね。ルールは「親を先頭に、親の肩又は腰を持ち、子が後ろに連なっていきます。 鬼は、親を先頭にした子の列の一番最後の子をタッチすると鬼の勝ちです。 親を先頭にした列は、逃げている途中で途切れてはいけません。 親は、鬼から子を守るために手を広げて頑張ります。」私も遊んだ記憶がある。
燕の尾翼を足に見立てて擬人化しているところがなんともかわいい!真ん中辺にいる燕はそっぽをむいたりして集中力がないよ(笑
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第5章 詩歌と楽しむ 広重の短冊判花鳥画
浮世絵のサイズには、実は決まりがあって、大奉書から取れる大判・中判・小判・短冊判・
大短冊判、小奉書から取れる細判・間判、丈長奉書から取れる長判・柱絵があるそうだ。覚えられそうもないが、縦長の短冊判の花鳥版画には、俳諧などの賛がついていて、絵と共に味わう趣向となっている。
本展の素晴らしいところは、キャプションに全ての賛の翻刻があるところ。崩し文字、江戸文字が読めないで意が分からずイライラすることもなく、作品も十二分に味わえて楽しい。美術館スタッフに大感謝!
北斎の花鳥画は自らの造形感覚で個性を打ち出しているが、広重のそれは、鑑賞者に寄り添うような情緒があるという。

歌川広重《月に梅》天保14年ー弘化3年
「長閑さにやはらかになる力こぶ」
力こぶとは梅の蕾のこと
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歌川広重《姫海棠に群燕》天保3−6年
宝井其角「山の端に乙鳥(ツバメ)を返す入日哉」
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歌川広重《芙蓉に高麗鶯》天保3−6年 *写真撮影可
「有明のぬれて落たる芙蓉かな」
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歌川広重《三日月に松上の木兎》天保3−6年 
「三日月の 船遊山して みみづくの 耳にいれたき 松風の琴」
松の枝にとまったミミズクの尾羽の辺りに、三日月が掛かる。三日月を船にたとえ、木兎を船頭に見立てている。風の音に耳を澄ましているような木兎の顔が可愛い
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歌川広重《月に雁》天保3−6年 *写真撮影可
子供の頃に切手ブームがあり、憧れだったのが《見返り美人》と、この《月に雁》だった。
広重の師匠である歌川豊広《雁》と並ぶ。豊広のは小判藍摺で、縦長の画面に月を背に降下する雁を描いた余情は師を越える。
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広重の印に注目。「福寿」の文字を鹿と馬にかたどっている。「馬鹿印(ばかじるし)」と呼ばれたそうだがなかなかおしゃれ。
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歌川広重《雪中の鶏》天保3−6年
「きぬぎぬの咄もいまだつもらぬに とけかうと啼く雪の鶏 八陣亭」
シャレオツな狂歌と画。後朝(きぬぎぬ)の別れを告げる鶏の声。雪も積もらぬうちに積もる話もできずにお別れとは…と切ない思いを詠う。鶏が後ろ姿なのもまた粋。
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伊藤若冲《雌雄鶏図》江戸時代
他所に所在を知られていない作品!
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第6章 小さく愛しき花と鳥
アビーは短冊だけでなく、小さな版を愛したそうだ。確かに女性好み。

歌川広重《烏瓜に目白/芍薬に小鳥》天保3−6年 *写真撮影可
ぼかし摺が効果的に用いられる美しい2図が裁断前の状態で残っている。
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メジロは「目白押し」状態がかわいらしい
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「芍薬に二十日の欲はなかりけり」
芍薬に20日間咲きつづけたいという欲はないという意味で、移ろいゆくものの美しさを詠んでいる
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歌川広重《風流新彫 東都名所 不忍の池》天保11年頃 *写真撮影可
蓮にとまる燕。広重らしい近景と遠景の構図。


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日記は「うるわしき刷物」に続く

3月1日まで

アルバムあります
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