改行の位置を直して送り出す 昨日の人はもういないまま #短歌
選択の重さを語る掌で透明な夜をひとり飲み干す #短歌
あいまいなままの響きを置いてきて言葉の骨を拾えない夜 #短歌
月明かり追わずに指を休ませていのちの線を静かになぞる #短歌
返さないこともひとつの応答で夜の水面に月をほどいた #短歌
かぞえてるあいだに静かに冷えていく 帰れるほうをちゃんと選んで #短歌
蛇口から落ちる音だけ聞いている 濃さの理由をまだ知らぬまま #短歌
動かないことが祈りのかたちなら重さはきっと羽化する途中 #短歌
あたたかい側に寄せてる母音だけ いつか呼ぶ日のために残して #短歌
ハートまみれの通知を閉じて まだだれのでもない夜を待つ #短歌
濡れたままコンビニの灯に入っていく 体の置き場みたいな明るさ #短歌
笑いすぎ注意の札を見て笑う また同じ駅で君に戻され #短歌
はんぶんのままのあなたを抱き寄せて目覚めの側へ名前を渡す #短歌
そのかかと雪に触れずに過ぎてゆくさびしさだけを連れている午後 #短歌
拳とは祈りに似てる器官だとひらかぬ夜に気づいてしまう #短歌
マナーモード確かめてから二番線 さびしさだけが通る改札 #短歌
コンビニで買った小さな花束もちゃんと未来を連れて帰った #短歌
信号が変わるあいだ見上げればまだ間に合うと空は言わない #短歌
発語前夜 喉に残された熱こそが世界の輪郭ふたたび描く #短歌
正解は匂いを持った沈黙で手渡すときにだけ重くなる #短歌
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