言わぬまま続く関係夜にあり触れあう舌が熱を覚える #短歌
破るたび白さが増していく胸で 言葉は箱に戻されていく #短歌
通知音ひとつで揺れる自尊心 既読の秒針ぼくを測るよ #短歌
陽だまりに老人の椅子ひとつ置き やわらかく折って座らせ #短歌
掬うたびこぼれてしまう体温を居場所と呼んで手のひら濡らす #短歌
引き出しに甘さをそっと戻す夜 言わない味が舌に残って #短歌
余白だけちゃんと残して起きてみる だれでもないを抱いてまぶしい #短歌
祈るたび光が古くなる気してしわのところで指が止まった #短歌
カーテンの折り目の影に身をあずけ起きない選択 空が許して #短歌
ふた閉じて煙の時間待っている土鍋の中で夜が色づく #短歌
丸いもの先に触れては夜になる 理由はいつもあとで疼くよ #短歌
結ばずにいた髪なのに光っててアルバムの中梅がふくらむ #短歌
たたまれてもう寒くないと知っているセーターたちが静かに眠る #短歌
掘るほどに言葉は遅れてついてきてぬくもりだけがここに残った #短歌
白いまま触れられぬ日々積もりゆき 冬の名残を胸に灯して #短歌
気づいたらここにいたって言うみたい 輪郭だけが少し遅れる #短歌
正しさの形に沿って話すほどほんとの声が遠くなる夜 #短歌
からっぽの空気もちゃんと持ってくね だれでもないを忘れないよう #短歌
白い息 土にまじれば芽吹くよう 生きる理由を花が預かる #短歌
丸くなる言葉の背中見送れば赦しと違う朝が来ていた #短歌
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