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2026年02月22日19:21

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本を植える男

 2月22日、日本では猫の日。
 昨日の穩やかな晴れの午後、近所の写真家君宅を訪ね。しばしの間、油を売っていた。
 そもそも訪ねた理由は「Macで2ギガのSDカードをFAT16形式でフォーマット出来ないものだろうか」と訊きに行ったのだった。
 理由を尋ねられたので、「キミと同い年の友人に音楽ファイルがいっぱい詰まったSDカードを送ったのだが、カーステが古いため、FAT32じゃ読み取れないようなんだ」と説明。彼は普段、Mac使いのデザイナーで生計を立てているので、ひょっとしたら知っているかもしれない……、一縷の望みを掛けた。
 と話は早かった。古い古い2ギガのSDカードを彼は1枚持っていて、当たり前のことながら今どきこんな低容量のSDカードは使わないので「あげるよ、これ!」とくれたのである。その後、環境問題とか、好きな本のことを話題にしているうちに、ジャン・ジオノの『木を植える男』を挙げたら写真家は興味を強く惹かれたようだった。
 わかった、確かまだ予備の『木を植えた男』がうちにあるはずだから、取りに帰ってくるよ、あればあげる。
 私はブックオフでこの本を見つける度に買っている。そして自分の気に入った人間にあげることを生業としている「本を植える男」なのだ。
 で、書棚を探したら予備本が一冊あった。
 彼ん宅に引き返して『木を植える男』を差し上げ、晩ごはんのあとはFAT16のSDカードに約40時間分の音楽ファイルをコピーし、画家君宛に手紙を書いたりしていたら土曜の夜はほぼ終わってしまった。そのあと、ひどく難解な哲学書(ローレン・アイズリー著『星投げびと』)を開いたのだが、20分後、面倒くさくなって睡眠薬一粒、すぐに寝落ちできた。
 今日は朝、はがきを一枚を書く。その昔、ファクスを送るときに前もって電話で「これからファクス一枚入れます」と先方に伝えたものだが、それと同じで、「週明けに電話をいれさせていただきます」というご挨拶だった。 
 再来週、打ち合わせで甲府の新聞社に行くことが決まった。詩人の唯一と言える友人の息子さん宅は新聞社から1キロにある。友人が詩人に向けた思い出の記を全集に収載していることもあって、これまでの経過報告と謝意を示しにうかがいたい、と思ってきた。
 いきなり電話でアポをとることに気が退けている。私はひとに臆する性質ではないのだが、こういうアポ取りが苦手ゆえ、その気弱さを補うはがきだった。
 画家君へのSDカード入り封筒と共に郵便局で投函。やれやれ、肩の荷が少し降りた。
 春の陽気に誘われたのか、鎌倉駅前は多くの観光客で溢れていた。なかには、Tシャツ一枚の外国人観光客がいる。寒くないん? 身体のつくりがぼくと違う。
 外国人と言えば、茨城県で不法就労のガイジンを見つけたら通報しようという条例だかなんだかわからない密告制度が出来たらしい。先週金曜の夜に聴いた武田砂鉄のラジオ「プレ金」で初めて知ったのだが、ついにここまで外国人の排斥主義が現実になってしまったのか。そのうち、現政権を否定する人間がいたら密告し、令和の治安維持法(スパイ防止法)でしょっ引くことになるのだろうか。
 今夜の夕食は、メインが浜田産の鰈の干物、副菜がポテトサラダと高野豆腐だった。「ばけばけ」の影響もあって、島根で獲れた魚や練り物があると買うことが増えた。鰈は一夜干しなので、干物なのにふっくらとした食感。とても美味しい。こういう小さな感動を味わえると、むやみやたらと感謝の念が湧く。干物をお金と等価交換しているのだが、平和な世の中というのはだいたいに於いてほぼみんなが貨幣価値以上の歓びを得ていると思う。
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