マイスターって呼ばれるほどじゃないけれど芋の話なら忘れる時間 #短歌
戦うって殴ることじゃないんだよ 日常を着て前へ行くこと #短歌
意味がないという言葉で測るほど世界はいつも余ってしまう #短歌
声になる一歩手前で待てるなら世界はだいたい消えずに済んだ #短歌
重なりて白菜白き層の間 世もまた鍋と心得るにけり #短歌
箸先に戯れ残す飯一粒 遊びの中に味は宿れり #短歌
みかんって面倒だよねと言いながら手を出さないまま冬が会話する #短歌
名も聞かず配役表に丸がつく 立ってるだけで雪になる役 #短歌
行けなくて好きが減るなら楽なのにカレンダーだけ光り続ける #短歌
正解がきれいに並び道になる 踏み外す雪の居場所ない夜 #短歌
私が育てた肉を取られても骨はきれいに笑っているよ #短歌
雪の日のまばたきをするあいだにもきらめきだけが先に歩いた #短歌
向こうって言うたび遠くへなる場所でまた息のある円だけ残る #短歌
洋菓子の生まれる場所を見たくって遠足みたいに帽子をかぶる #短歌
窓際の新書の白さまぶしくて声をかけずに羽根を数える #短歌
風邪ひいてポカリの青が喉を行く 雪解け前の川みたいだね #短歌
花曇り鈴は両手で眠ったまま鳴らさぬことも役目のひとつ #短歌
うなずきの角度を少し変えながら消えない色を信じてみたり #短歌
脱ぎ捨てた服のかたちが夜になる 置いた重さで朝を量る #短歌
手袋が距離をつくってしまう午後 触れぬものほど雪に近づく #短歌
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