畦道で白い鳩だけ誤植めく 世界が一瞬刷り直される #短歌
きぼうって誰が言い出した音だろう 月と雪だけちゃんと降ってる #短歌
静けさが一行ぶんだけ余ってる 誰も来ないと知ってるみたい #短歌
あたたかさ消える順番を見てしまう 家は最後に嘘をつくから #短歌
呼ばれたらもう戻れない花になる 世界ってたぶんそういう距離だ #短歌
だれのため赤はつづいた色だろう 歴史はいつも黙って乾く #短歌
ここにあるって言い切るほど声がなく 雪は家より先に目覚める #短歌
足りないと知ってて並べる椅子がある 彼岸はたぶん待つ側の部屋 #短歌
鳴らさないって信仰が残ってる 神はいつでも静かな側だ #短歌
靴ひもをほどいて集う金曜の箱の熱から友情が出る #短歌
消えるまで何もしないでいる強さ 牡丹雪だけそれを知ってる #短歌
声になる手前で止まる事がある それを世界は無視してきたね #短歌
叶う前もう知っている指がある 石は答えを言わないままで #短歌
生まれ直すか選ぶ夜がある ライトは先を責めてはこない #短歌
届かないほうが正しい拍手もある 水は意味だけ連れていくから #短歌
出ていった言葉の靴音聞いたあとドアはしばらく返事を探す #短歌
空に近いって言い方がやさしいね 渡すたび少し人じゃなくなる #短歌
だれでもいいって言える夜が救いだよ 歌は宛先を必要としない #短歌
網戸には外と内との中間がぬるい匂いで貼りついている #短歌
結局はうなぎパイだと知っていてそれでも迷う夜があったね #短歌
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