はるかぜの余白をあつめ敷いたならブルーシートも花びらになる #短歌
期限付きのやさしさだけを信じたら眠る仔猫が未来になるさ #短歌
書かれた字ほどけて風に混ざるころわたしの影もやわらかくなる #短歌
字幕から解放されて歩く道 黙って増える白の比喩たち #短歌
細切れの紙にまぎれて呼吸する 書かなかったことまだあたたかい #短歌
笑えって言われる場所に立たされて僕の沈黙がいちばん本音 #短歌
右肩の花を払えず立ち止まり別れの式が胸で解けない #短歌
路線図の赤い丸があたたかくひとこと胸で乗せたままゆく #短歌
チャイムまであと3分の光とか高一の教室みたいな午後だ #短歌
吹くというやさしい仕事終わるころ布に集まる今日のざらつき #短歌
抱きあって境目のない闇を越えあしたは服を選ぶところから #短歌
再生のマークみたいなさびしさで次の桜をちゃんと信じる #短歌
水のなか時間はちゃんと遅れてる息を止めれば世界は丸い #短歌
空からの留守電みたいな雨の音 聞き返すたび強くなる国 #短歌
毎年の葉書のどうぶつやさしくて十二年経ちふくらみを増す #短歌
受話器越し窪地の闇を確かめて触れない声が風になる夜 #短歌
眠り割るその冷たさを信じたい ひかりは触れて嘘をつかない #短歌
守るって気づかれないでいることだ 風より先に名を呼んでいた #短歌
闇鍋の底でひっそりすべる石 年をまたいでまだ名前がない #短歌
噛み砕く瞬間だけが本当で舌に残った空白をなめ #短歌
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