家路には拭えぬ染みを連れてゆく洗えば消える明日を信じ #短歌
ぐるぐると昆布の時間に守られて海は静かに甘くなってく #短歌
塗り直すたびに世界がまだ好きで五月病にも光は混ざる #短歌
ふれたかてたずねるように雪が降る 新世界へと月ひらかれて #短歌
翼だけ海に置いては消える鳥 青のはしべで世界が薄い #短歌
曲がるたび遠くの話近くなる ストロー越しの時間のあまさ #短歌
東京では甘さを借りる手のひらに好きと嫌いのあわい残して #短歌
引き出しを閉める音まで波にして思いだすたび砂が増えてく #短歌
朝の駅 紙の匂いのカレンダー 未来をそっとめくって並ぶ #短歌
鍵のない戸をそっと押せば夜の奥 消えた家ほど灯りがやさしい #短歌
湯のみ置く音だけやけに大きくて年下ばかりの時間が進む #短歌
芝生まで未来の匂いしてしまう知らない名字を胸で呼ぶ町 #短歌
予定欄空席みたい削除され空もだんだん人が減ってく #短歌
誰もいない家の白さを見つめてる 窓に積もった雪だけが息 #短歌
振り向けば透明になる背中あり肺にひびいて冬が深まる #短歌
噛むたびに潮の記憶がひらけてく 家の灯りへ音なく戻る #短歌
洗われて白くなりゆくTシャツが鈴のない朝 静かに進む #短歌
行かぬ子のランドセルだけまぶしくて朝日はそっと理由を問わず #短歌
水を飲む夢から覚めてまだ乾く門はすべてに声を溜めてる #短歌
うつくしくない日を探す暇もなく血の色までも夕焼けに溶く #短歌
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