まあいいか大きな皿で辻褄を合わせてしまう今日の僕たち #短歌
店の名をひっそり刻んだ赤きもの雪を運んで町に溶けてく #短歌
電話口名乗ったあとの舌ざわり削られながらわたしは進む #短歌
祝辞には伏せられた数透けていて胸にしまった名札が重い #短歌
削られた時間を抱いて弾くピアノ 緑は窓より深く映った #短歌
飾らずに芯のところで甘くなる白あんみたいな生を選びたい #短歌
暮らしとは音を分け合うことかしら排水口の息を聞きつつ #短歌
雪中の狩人のフォーメーションで丘から町を俯瞰して撮る #短歌
丸のない欄を埋めつつ歩いてる選ばれなさが道になった日 #短歌
耳ふさぐ音のからだで世界から小さな鐘を鳴らして眠る #短歌
通知音 軽さのままで風が立つ町の名前がひとつ減る夜 #短歌
自販機のひかりを舐めて夜を行くこぶにためた水まだわけられず #短歌
うつむいて同じ速さで食べ終えてガラスみたいな午後が始まる #短歌
あたたかい嘘を選んで生きているレシートみたいな今日が折れない #短歌
同じ色ほどける温度違うから影の置き場を友だちと呼ぶ #短歌
ひらひらと雨に覚えを描く地面 名を持たぬまま夜へ沈めり #短歌
野菜室みたいな比で息をする わたしを入れる透明の器 #短歌
検閲の時代を抜ける回線はたとえ話だけよく聞こえるね #短歌
白すぎる余白に並ぶ造花たち ほんとの今日が帰る場所なく #短歌
結び目はほどけずにある掌で言葉は風に置いてきた夜 #短歌
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