外はもうサイアクだよと告げられてそれでも髪を梳かしてしまう #短歌
重ね着のひそかな温度抱えつつバスを待つ間 世界は静か #短歌
蜂蜜の重さを知らず落ちてきてきれいね今日の落葉のいろは #短歌
朝いちばんかかとのない靴下を選んだ理由をだれにも言わない #短歌
自分で決めたいだけのひとこと胸のどこかをひかりに変える #短歌
悲しみを拾いあつめてまだ歩く 碑に触れた手にひかりのすじが #短歌
ひらひらと焦げたリズムが落ちてきて指先までがまだあついまま #短歌
こっちにも落ち度があって飲みかけの水のぬるさが胸をひらいて #短歌
うすい殻 触れてはやめて好きじゃない そんな真夜中捨てにゆきたい #短歌
もっとヤバい場所の気配が靴底にまとわりついて歩幅くずれて #短歌
沈むたび胸のどこかに呼ばれてるあなたの影に似た鳥がいる #短歌
迷惑をかけてきたから朝の雨 ゆっくり濡れる石段を踏む #短歌
言葉ではほどけぬ距離を見てしまい夜更けの駅で息をあわせる #短歌
少しだけ消えていただきましょっかと雲を押しやる午後のしずけさ #短歌
すぐ脱ぎたくなっちゃう癖を笑われてあなたの部屋の温度に似合う #短歌
リビングにテントを張れば午後三時知らない風がゆっくり座る #短歌
もう少し近づきたくて立ち止まる 高い電灯 君までの距離 #短歌
気絶するくらい好きだと言えぬままあなたの皿にそっと分けてる #短歌
知らないまま壊れた町を見てしまいあなたの声が遠くで揺れる #短歌
少しだけ不機嫌な朝の君のくち ツンと上向き甘い黙りかた #短歌
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