ポケットの中でためらう百円のまるさをなぞるようなひととき #短歌
さびしさを貼るようにして枝ごとに花のかたちを置いて帰った #短歌
冬の匂いだけで満たして眠りつく息が白から夢になるまで #短歌
咲き方を決められた手のうすあかり おしべめしべを抱くようにして #短歌
やけどするくらいでちょうどいい愛を歪んだままでわけあっている 短歌
音階に触れるたびにも遠ざかる金糸雀という未明のこども #短歌
モニターの奥でうなずく光たち わたしの嘘をやさしく返す #短歌
新台の幟はためく光だけ知らなくていい場所が増えてく# 短歌
そんなのは分かってるって笑いながらストローぐにゃり歯でつぶしてる #短歌
私まで一緒に怒られてあげる 君の「すみません」も少し借りて #短歌
おみやげの貝を耳へとあてながら君の海まで戻れそうだね #短歌
いまがいちばん若いと言えばうなずいて倒れるドミノの音を見送る #短歌
波打ち際に置いたサンダル 砂はただ黙って白いだけを知ってる #短歌
スーパームーンの光の底に立つ 草も蚊もいて誰も帰らず #短歌
待ちぼうけ傘のしずくを数えてはもう一度だけ名前呼びたい #短歌
あと1秒で冬がはじまる きみの手をつないでもいいかきいてないのに #短歌
部屋の隅 スパイス瓶の影としてカレーをつくるひとの静けさ #短歌
広告のコピーに似てる声がする やたらシックな校舎の風よ #短歌
口もとは光をほどく手のように台無しになるタイプの笑い #短歌
信号の赤が静かに沁みている灯るものにも灯らぬものにも #短歌
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