じゃんけんで負けた人から笑うのね手のかたちだけ熱を残して #短歌
推しのとなりで笑う声だけ現実で画面の中の恋は静かに #短歌
外せないカレンダー越しの冬の影 生きよの文字に薄く雪積む #短歌
目覚めればすすられる蕎麦みたいだな 水にいたことまた思いだす #短歌
心から笑うと痛い場所がある たぶんそこには春が残って #短歌
押しつぶす雪の重みに名が眠る 治ることさえ静かな事故で #短歌
状況の外で指紋が風に揺れ正しさよりも形がほしい #短歌
雨粒のひとつひとつに名があってみんなで風邪をひいてるみたい #短歌
二粒の光がわたしに穴をあけやさしい痛みをまだ飼っている #短歌
ほどけない靴紐のまま宙を舞う拍手のなかで泣いてしまった #短歌
ヒーラーであることだけが癒えぬ傷 牛蒡の香にて尖る喉もと #短歌
笑い声冷めていくまで見届けて氷の音で話を戻す #短歌
顔ふれて眠たくなって電車ゆく じゅえきのような声をこぼして #短歌
客いないままに始める拍手から風のひとりを呼びこむように #短歌
セーターを洗う当日の午後あたり水の記憶に紺が戻って #短歌
満腹を知らぬままでは人は死ぬ 命の定義 胃で終わらせる #短歌
ヤマボウシの名を反芻す 声が軋む 白は想像の沈黙のかたち #短歌
偶像の背からこぼれる粉のよう それでも指でなぞりたくなる #短歌
自らを乗っ取りながら暮れてゆく 湯気ごしの手が誰かを選ぶ #短歌
笑うたび世界の縁がずれながら一つのこと音がやさしく逃げる #短歌
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