指先でためらう風のうしろ側 こんな髪型似合うはずない #短歌
葉のかげにまだ跳ね残る声ひとつ君のいないを聞いてしまえば #短歌
バス停の風にほどけるイヤホンの片方だけがまじめに鳴ってる #短歌
今日だけのやる気を持って動きだす靴の汚れが昨日のままで #短歌
きれいだとあなたが言えばこの部屋はやわらかすぎて腹が鳴る夜 #短歌
ゆすりかの糸でつながるひとの気を 空はあかるくうすくなりゆく #短歌
ただ一度つかまれしあと沈黙のレモンが皿で夜を待ってる #短歌
降らなくてよかったですねと笑うとき手ぶらのままの指が触れてる #短歌
ポイントのたまり方では救えないふるさとの夜を割引してる #短歌
つきぎめがひらがなであるやわらかさ街にすこしの夢をのこして #短歌
濡れたまま歩いてしまう午後でした 生きるを少し覚えてしまう #短歌
生乾きのタオルの匂いまといゆく君の不器用わたしの未熟 #短歌
春夏冬 休むと書いたシャッターに君の名前を落書きしてる #短歌
大丈夫だよーのーに埋めた怒りだけ既読の海を静かに渡る #短歌
車窓より中華屋ひとつ灯を灯す 君のいない夜の手前で #短歌
歩き慣れない靴のかかとで立ち止まる 好きと嫌いのあいだくらいで #短歌
花の写メ送りあうたび夜が咲く 会わないことを選んで光る #短歌
深呼吸して覚悟しても出る涙 誰かを好きに似ているような #短歌
迷うことめまいのことも抱きしめてもう夜だから優しくしよう #短歌
母が母じゃない世界でも傘の柄 光る骨組みに生まれてみたい #短歌
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