闘技場冷えた地表に寝転んで空の青さを分け合うように #短歌
おなかからマトリカリア吸い込んで花粉のように話が弾む #短歌
カレー鍋気になりすぎて夜が鳴る 世界はとてもスパイスまみれ #短歌
誕生日指輪がほしいその先に触れる人いて風が通った #短歌
まだ明るい夏の終わりのそのなかで蝿をたたく手 花火を聴いて #短歌
水色の空にまぎれて赤い車輪 制服のひと風にまぎれる #短歌
千切りのにんじん透けて光射すステンドグラスの影が噛まれる #短歌
海の色おまもりとして持ち歩くバスの揺れごと青がきこえる #短歌
紫陽花を映す鏡に音がある 雨だった椅子 光るテーブル #短歌
晴れすぎの午後に傘さす人となり水の気配を身にまといおり #短歌
書きかけの夢を奪われ夜の底 湯でたすようにこころを混ぜる #短歌
不毛なる問いのまえには白い花 だれのためにも咲けぬやさしさ #短歌
始まりはツバメノートの角の折れ 思想のような風を見ていた #短歌
十五万 カラオケルームの冬景色 笑うふりして夢を溶かした #短歌
夏の午後 思えば泡ののどごしは君の笑顔に似ていたかもね #短歌
夏の夜西瓜の匂い揮発して言葉は果汁のあとに残れる #短歌
現実のかたちをなぞる夢ひとつ火花の散るを見ぬまま眠る #短歌
無様とは愛の一形態拗ねることもまあなど構文のなか #短歌
負けましたあんぱんひとつ買うために遠いひかりを持っていたこと #短歌
君の夢 瓜科の蔓がからみあう ひかりの粒を摘みに行く午後 #短歌
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