鳩がいてビルの隙間の空を見て星の話をしてるようだな #短歌
街のどこにいても同じ信号の青がひとつ分ずれて光って #短歌
歌声に雪虫ひとつ溶けてゆき 秋の薄闇口内に降る #短歌
順番を待つそのあいだにも冷めていくやさしさだけがまだ熱を持つ #短歌
こころにもことばのはしも濡れるから亙る川には名がふたつある #短歌
たぶんもうキティちゃんではない顔まぶたの裏で笑っていない #短歌
オカリナを持たぬわたしが口ずさむまぼろしみたい秋の午後です #短歌
カーキ色のジープが似合う人だった いまは軽トラ降りて手を振る #短歌
シチュエーションのせいにできずに沈む午後 ピザの箱だけ陽に白くなる #短歌
脳内を照り翳りする米市場 買わない米を見つめてしまう #短歌
欠航の貼紙に雨の粒ひとつ あなたに似てる字が滲みだす #短歌
笑い方だけが増えてく通話口 その質問には慣れているから #短歌
人よりも言葉に触れてしまう午後 薄い緑の天蓋の下 #短歌
推しごとの果てに残ったノートには赤い線だけ幾重にもある #短歌
物語だけ押しつけられて傷つく日 語らぬ沈黙も演出とされ #短歌
愚鈍なる月のとなりでうたたねす言葉はまだ名を知らぬままで #短歌
「ひとつでいい」と言いながらもう決めているあとの時間を生きる舌先 #短歌
丸いこと確かめようとするたびに人との孤独が増えてゆくのだ #短歌
松たか子さんにもたぶんあるだろう許せぬ誰か胸のどこかに #短歌
赤色灯まわる夜にも洗いもの 警察車両の音を数えて #短歌
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