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2025年08月12日14:31

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天皇のルーツと私のルーツ

 先週の月曜4日、姫路市在住の親戚が我が家に来た。
 父方の祖父は赤穂浪士で有名な赤穂の出で、若い頃、神戸に越していて事業を営んでいた。その祖父は赤穂に2軒の家(神戸には1軒)を所有していたらしく、そのうちの1軒は長らく私の本籍地になっていた。父も含めてまったく住んだこともないのにもかかわらず、だ。
 祖父名義の家を売りたい。ひいては相続人18人の承諾を得なければいけない。という事情で姫路の親戚から連絡をもらったので、電話にて早々に承諾し、無償でいいという相続放棄を申し出た。その際、これも何かの縁なので、一度お会いしたいね、などと調子のいいことを彼に伝えたら、東京と横浜には出張がよくあるのでその時は事前にご連絡しますと言われた。
 それで、我が家に来たのだった。
 私は自分のルーツに関心がないものだから、祖父をはじめご先祖のことはほぼ知らない。父もそんな性格の私を知っているので、あまり話すことはなかった。
 播磨藩の下級武士だったという説と、網元だったという説があった。
 その親戚君(50歳)に「姫路と赤穂は近いんだからどういう家系なのか、とことん追ってくれないか?」と頼み、別れ際に「ぼくは家島諸島あたりにいた海賊が先祖だと愉快な気になるので、このラインで創作していいぞ」などと冗談を飛ばしたのだが、これはあながち本心でもあった。
 そんなところで先週末、ブックオフで沖浦和光さんの『天皇と賤民の国』という歴史論考集を見つけて購入、一気読み。内容は多岐にのぼるが、天皇の出自を各種の研究から再考察し、他方、天皇と対になる賎民(歌舞伎や芸能のルーツや被差別部落をはじめとする非人)についても沖浦論考を紹介している。
 天皇については多くの歴史学者が「タブー」に触れようとしないこともあってありきたりの考察になっていたが、中国・モンゴルの騎馬民族ルーツ説を中心に挙げられていた。そもそも「天皇」が「万世一系の天皇」となったのは天武天皇が命じて日本書紀を編纂させたところから始まるのだが、皇紀元年が紀元前660年前というのが私の頭では理解できない。日本語は確立されていないし、そもそも漢字さえ当時の日本には存在しないので書き言葉は当然ない。口伝であると言われてもよほどの天才が各時代にいてそれが30人(30世代)続くなんてことはあり得ない。私は日本史の教科書程度しか知識はないけれど、天智天武持統の各天皇は権謀術数と武力で皇位継承争いをしていた殺人者たちなので、いまの喩えで言うとNHK党の立花とか新政党の神谷みたいな声のでかいキャラであったろう。天皇制はそういう時代にまとめられた「記紀」が唯一の足がかり、というのはなんとも心許ないと高校生の頃から疑問に思っているのだが、日本人の九分九厘はすんなりと受け容れている。
 さて、賎民について。
「ご先祖が海賊だったら面白いのになあ」という妄想を親戚に伝えたわずか5日後、沖浦さんの論考集に「瀬戸内海の海賊衆」という考察が収録されていた。沖浦さんはどうやら自身が海賊のDNAを受け継ぐ”賎民”の末裔ではないか、というストーリーで研究をされていたのだ。私も赤穂で所有していた祖父の家作とか立地とかをちらっとは知っているので、海賊の末裔、漁師の末裔、被差別部落民の末裔、世を忍んできた落ち武者の末裔、収奪を職業とした犯罪人の末裔……とどれをとっても完全否定する証拠はほぼない。で、いずれであっても、現在の私は怠惰で後退的なダメ人間でしかなく、たとえ天皇家の末裔だったとしても、非人の先祖をルーツに持っていようが、なんの意味もなさない。
 しかし、親戚君にお願いしたいのは、村上水軍の海賊が祖先である線の沿って古事記より面白い壮大なる物語を聞かせてくれることだ(笑)。
 
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