ひなたにはまだ濡れたままの記憶あり 片手のままの君の手袋 #短歌
君がまだ知らぬ景色を話したく青くてあたたかい海のことなど #短歌
ひとくちの西瓜の甘み ほどけゆくその歯にふれて夏を知る肌 #短歌
映画にはならぬ日々こそまぶしくて結んだままの靴ひもで行く #短歌
知らないの最後の晩餐のレシピなど豆腐が踊る午後の赤道 #短歌
画面越しになにかを脱いで笑ってた君を知らない私になって #短歌
はじまりはビーカーだった 水しぶき光る破片に映るわたしら #短歌
階段が床にあらわれ消えていくここでは夢が起きては眠る #短歌
フェリーからみた東京には柵がない 水平線とは別のさよなら #短歌
「だからさ」「でもね」で終わる文章がすべて夕日に染まっていった #短歌
風抜けて音を残したラムネ瓶 ひとつぶだけの涙に似てる #短歌
急がないことが今日は似合うから各駅停車で行くと決めたの #短歌
きのうより揺れる終電 ポケットのガムがつぶれて甘くなってた #短歌
どこからが夜かわからぬ時間にもあなたを思う癖が抜けない #短歌
にじむものばかり選んで生きてきた虹の終点さえも見えずに #短歌
コーンスープの底に確かなる重さあり昨日の夢が混ざってしまう #短歌
小鳥より軽いものなど抱けぬまま輪のむこうまで青空はゆく #短歌
知らない声が知ってる朝を被るからトーストの焦げが少しうれしい #短歌
くしゃみしてわたしの中の夏が鳴る あなたの影がすこし揺れる #短歌
あと少し届かぬままの跳び箱と鼻を押さえるきみのくちびる #短歌
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