嘘つくの下手なままです 終電に間に合っていることだけが事実 #短歌
光ってるこの世界よりも少しだけやさしく洗ったシーツの内側 #短歌
コップには少しあまったミルクあり今日のひとみがまばたいている #短歌
このくらい平気と思って触れたのに夏がいきなり歯をむいた午後 #短歌
こわれものみたいに膝をかかえてる誰にも見せぬ温度増してく #短歌
7月の手触りしてる腹の上なにも起きないことがうれしい #短歌
もどらない時間にだけ触れられる その夜わたしはブックオフにいた #短歌
だれの夏だったかさえ不明なまま骨だけが夜の端っこにある #短歌
帰ろうと思った道にひかってる 夕日のなかの知らない家たち #短歌
きみたちは夏の配線 マーマレードの爆心地から歌がこぼれて
声だけをたしかめたくて受話器ごし 水音のするほうを向く #短歌
言いそびれたことのひとつにふれられて日焼けのあとがじんとひらく日 #短歌
誰よりも先に降ります それだけをゆるしてほしい 都電のゆるさ #短歌
なまぬるいバスの車窓をつたうもの それは過去ではなかったはずよ #短歌
許さずにいてもわかるときがある ひかりのように目を伏せるとき #短歌
その目には人が澄んでる気がしてた テリアだった わたしの話を聞いた #短歌
ゆで卵ひとつかかえて歩く道 蝉が鳴いてももう戻れない午後 #短歌
呼び方を変えないままで季節だけジャスコの屋根をうつす午後三時 #短歌
最高気温35℃郵便局までの道に似ている祖母の背中 #短歌
まよなかに耳を澄ませば降りてくる虫のこゑだけ正しいような #短歌
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