落ちるものすべてに音があることを知らずにいたよ 初夏がこぼれる #短歌
スマホには未読のままの諦念が「見なかったことに」では足りない #短歌
イメチェンは未遂のままで終わる午後 風が通ってるだけの前髪 #短歌
遮断機の向こうにきみがいたような空にだけ遅れてくる信号 #短歌
長靴に小さな水をのこしたまま君が笑えば梅雨も許せる #短歌
コンビニで選び切れない午後だった レジに並んでから気づく気持ち #短歌
アイス溶ける速度がやけにやさしくて「おれってひどかったよな」と思う #短歌
主語抜きでかたられつづける関係をフランス語では恋と呼ぶらしい #短歌
冷蔵庫の横のシミにも似ている 言いすぎた夜のあと味みたいな #短歌
湯船ではぜんぶがやさしくなっていく クツシタにだって意味はあったよ #短歌
ものまねの途中でなぜか泣きそうになってる友の顔が本物 #短歌
夕方のニュースが映す誰かより君が切った前髪を覚えてる #短歌
呼ぶたびに生活に似てくる名前 夜になるのは空の習慣 #短歌
移し替えそびれたカードはひとりきり 磁気の眠りを深くしてゆく #短歌
花が終わって風だけ残る商店街 透けたまま売れ残る夜 #短歌
アナログの針が降りると黙る部屋「宇宙は渦か」は言わずに済んだ #短歌
開かれぬ携帯の骨 わたしたち発光しない沈黙を持つ #短歌
看板のない道だったと知る午後 腕のかたちに残る体温 #短歌
だれにも言えないことが増えていく 月がやさしく見てないふりで #短歌
洗い終えた皿がしずかに乾く夜 まちがいだけがひとつ残ってる #短歌
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