9月22日、夜の午前零時、窪美澄の『晴天の迷いクジラ』を読了。白石一文が推している作家だ。傷ついて壞れていく3人の人生を描いた重い長編だった。読後、Amazonの口コミをチラ見した。驚いたのは228個の評価があったことだ。この数は小説の場合、ベストセラーに匹敵する。窪さんにかなりの固定ファンがいる、ということは知っていたが、ここまでメジャーな地位にいたとは。口コミでは一様に「重い」「不幸すぎる」という感想が多くて読むこと自体しんどかった読者が多かったが、私の感想は少し違った。人物造詣も人物描写も巧みで、さりげなく季節や周りの情景や身近な小物が織り込まれていて、更に心の在り様も丁寧に描かれていて、かなり”手強い”作家力だと感じた。言葉遣いが平易ゆえ、たぶん多くの読者はそこに気がついていない。
褒め言葉とは真逆なのだが、(一度手に取ったらたとえ面白くなくても読了すべき)という小説だ。私は小説にしても映画にしても絵にテレビドラマしても、貶さないことを良しとしている。好悪のマイナス面を取り上げたら多様性の否定に繋がりかねないから。
昨日23日は夜、YouTubeで東出昌大の(おそらく山梨県の外れにある)山暮らし動画(前編後編)を長々と見た。なぜかオススメに上がっていたのだが、これで見るのは2回目だ。あの人気俳優がスキャンダルに見舞われて自宅からも妻からも追い出されて、これ以上不便で質素な家はないくらいの粗末な山小屋暮らしをしているのだが、この”転落”によって彼の本性が露わとなり、そこから人間再生へと自力で立ち向かっていく姿に、あらためて感動した。彼はまだ30歳代ゆえ自分が真似できる点は一つもないけれど、自分の素に立ち返って思うがままにやるさ、という精神の在り方には多少、重要なヒントが含まれている。
見終わったあと、クスリを服んだのだが、考える処が深かったせいか睡魔が訪ねてくれず、結局1時間ばかり輾転反側。もう一回、クスリに手を出した。久しぶりの失態となった。
今日は普段どおりに起床したので、寝不足だ。
なんか課している仕事に没入できず、昼イチ、今日は一万歩を歩こう、といちばん疲れにくいスニーカーを履いて家を出た。
挙げ始めるとキリがないが、たとえば家の前にある道路の側溝の金属網を外して”ドブ”掃除をしている老人、家の塀代わりに植えているイチジクの木に実がたわわになっている光景、杖を頼りにリハビリに励んでいるご婦人、礼儀正しいタクシードライバーなどなど、歩いているとしばしばはっとすることがあって、大袈裟に言えばなんでもかんでも愛しく感じる。これもきっと、暑さが和らいだせいなのだろう。
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