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2023年09月16日21:37

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月1定例の横浜

 9月16日土曜日。100年前、伊能野枝・大杉栄が皇居前大手門にある憲兵隊本部で惨殺され、古井戸に投げ込まれた日。栗原康の『村に火をつけ,白痴になれ――伊藤野枝伝』は野枝の自由奔放で、男にだらしなく、政府にも村人にも反抗的で、それでいてお茶目な生涯を悪ふざけの過ぎる文体と言い回しで描いた傑作なのだが、恋愛小説の大家・村山由佳も2020年に『風よあらしよ』という書名で野枝伝を出している。今日の新聞を読んでて(ああ〜忘れてた、アナーキー栗原の野枝伝は誇張と作り話で構成されているようなので、サヨクじゃない村山由佳さんが正統的に書いた本も読もうと思っていたんだ)と、小学生が口うるさい母ちゃんに言い訳するかのように心の中で弁解した。
 月1回の定例会議。いつも通り、会議の開始1時間半前に横浜駅着。朝、電話予約をした珈琲豆店で焙煎したての豆を受け取り、その足で有隣堂へ一直線。単行本文庫本新書すべての面陳された新刊を眺め、時々買うのが月1の愉しみ。
 横浜での関東大震災時朝鮮人虐殺研究の第一人者・後藤周さんの本がそろそろ出る時期なのだが、見当たらない。逆に、風媒社の社長・劉永昇『関東大震災 朝鮮人虐殺を読む』が面陳されていて、10分くらい立ち読みをした。後藤さんの本を買うのはマスト事項ゆえ、やむなく買い控えをした。文芸コーナーで村上春樹の『街とその不確かな壁』が売り物の本ではなくダミー本で積まれていて、買いたい人はそのプラスチックの偽物をレジに持っていけば紙の本に替えて渡してくれるシステム、ということにくすっと笑えた。1週間くらい通い詰めて立ち読み読了する人が大勢いるのだろうか。
 会議は8月末の展覧会総括だった。来年の展覧会は来月から話し合いが始まる。終了後、居酒屋に移動して打ち上げがある。私はすべての宴席を断る主義なので、みんなと別れて家路へ。一種の変人だろう。
 横須賀線の車内、ドア横ポスターが私の見える範囲はダイナースカードだった。会社を辞める年まで持っていたぞ。いろいろと特典はあって例えば国内の主要空港には専用無料ラウンジが提供されていたのだが、ただの1回も利用しなかった。いかにもバックパッカー姿の俺が足を踏み入れる場所じゃねえ、って感じ。敷居が高いのではなく、そもそも柄に合わないのだ。自分にせいぜい許されるのは、JRなどの「通勤ライナー席」くらいだと思う。
 80年代90年代は誰彼なしに贅沢を良しとしていた。それがいいとか悪いとかではない。時代は狂っていた。が、今は狂おうにも狂えない時代になってしまった。
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