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2021年06月23日19:43

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よるの・がわに・たつ

 小野寺史宜の長編小説『夜の側に立つ』を読了。読んでいる間中、入院中の友人を思う気持ちが心の3分の1を占めていた。過去と現在が行き交う構成と内省的な主人公は共に自分好みゆえ、読み終わりたくない気分だった。小野寺史宜好きの友人がこの小説を読んだらどういう感想を抱くのだろう。 
 一昨日からメールが届かない。便りがないのは良い返事、だとは思えない。私は当たり障りのないことを書いて送った。いつもなら少なくとも1時間後には返信がある。
 痛みが激しくなってメールどころではなくなったのか、少し痛みが緩和した、というメールがあったら、もう少し小説の世界に耽溺できたのに。
 最初に本のカバーを見たとき、よるの・そばに・たつ。と読んだ。しかし、表題には小さくルビがふられていて、よるの・がわに・たつ、だった。読み方によって意味がかなり違ってくる。よるの・そばに・たつなら、夜に寄り添うような暗き性格(人生)だ。よるの・がわに・たつ、というのであれば、ダークサイドと呼ぶにふさわしい心の闇を描いているのではないだろうか、と読み取れる。
 案の定、これ以上ないような「心の闇」をテーマとした小説だった。文体が軽いだけに、意外な展開である。
 友人に感想めいたメールでも送ろう、という気はあるのだが、胸が痛くなるような返信が怖いことと、メールを読むのがひどくいやだという情況も考えられるので、控えたい。

 今日、図書館に行った。落ち着かない気分になると図書館だな。勤め人時代も同様で、会社の近くにそこそこ蔵書が揃っている図書館があったので、散歩がてら小一時間ほど図書館に退避することがよくあった。仕事柄、ボードに「京橋図書館」「日比谷図書館」などと書いて出たら、それは仕事だった(笑)。
 図書館に行っても友人を想い出す。「図書館にある本全部を読んでやる」と豪語していた彼は、確かに片っ端から読んでいた。背表紙だけを見ていても、惹きつける本はある。今日は借りないでおこう、と考えていたのだが、李琴峰の『星月夜』(り・ことみ、2020年7月刊)を手に取って帯に書かれた梗概を読むと、日本語講師の台湾人と新疆ウイグル自治区出身の留学生が主人公で、どうも生きる重さに力点を置いた小説らしい。
 借りてしまった。
 借金じゃないのでいいか。
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