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2021年04月19日17:48

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リナ・サワヤマとモッチャンについて



 4月15日の晩から、夜毎このPVを見ている。エルトン・ジョンを向こうに張って堂々と歌う若き天才シンガーを、毎回信じられない思いで見つめている。歌っているリナ・サワヤマはロンドン在住のアーティスト(ミュージシャンの枠にとらわれない活動)で、レディ・ガガが絶賛していることでも証明されているのだが、彼女のインタビュー動画を見る限り、LGBTをはじめとする人間に深い愛情を抱いた日本人女性である。ケンブリッジ大卒というのも(学歴に対する偏見でもあろうが)、かっこいい。配信初日にこのPVを見ることが偶然できたのは僥倖で、自身に対しても「よくやった!」と自賛したい。
 昨日18日(日曜日)、昼イチに執筆依頼のメールを拝受。同人誌に近い文学雑誌からで、追悼記を書いて欲しいとの内容だった。
 メールが届いたときはiMacの前で翻刻中だったのだが、ソッコーで原稿書きに切り替えた。1200字程度という注文なので、下書きが終わったのはあっという間だった。
 が、せめて一晩くらいは寝かせ、あらためて見直しつつリライトする、というのが一般的な流儀だ。なので、原稿は送らず、ふたたび翻刻に戻った。
 追悼記つながりで、大学時代の同じサークルにいた元友人を思い出す。私が2年の頃、彼はすでに5年生で、講義棟に行くこともなくサークル棟に寝泊まりしながら酒ばかりくらっている酔いどれ詩人だった。下級生の私たちから「モッチャン」とちゃん付けされて呼ばれていた。なんとなく武者小路実篤の小説に出てくる「馬鹿一」を想起させるようなところがあって、私個人としては軽蔑3親しみ5無関係2くらいの気持でいた。モッチャンの他にもこういう先輩は通っている大学に結構いて、一部の例外を除き落伍者だった。私も転落志向があるので、安全を鑑みてなるたけ反面教師として見よう、と思うのだが、やっぱり愛すべき人たちであった。
 卒業後というかたぶん中退したあと、彼はいったん誰かのコネで保険会社に就職。結婚もされた。
 が、20歳代の終わり、自殺した。そのあたりのことは仄聞でしかないので事情は知らない。確実に言えることは、私のような小市民とは根本的に違っていて、純粋だった。
 モッチャンについて、同じく同人誌に追悼記を書いたことがあった。枚数制限がなかったので、知ってること書けること全部書いたら、6千字くらいになったと思う。

 19日月曜日。昨日に続いていい天気! 午前中、やや遠い総合大型スーパー(ミスターマックス)にクルマで。買ったのはラズリのドッグフードとおやつがメイン。フードコートでリンガーハットの長崎ちゃんぼんを食べた。れれ、こんなに美味しかったっけ?
 帰宅後、昨日書いた追悼記を読み直し、少し手を加えたのち送信。
 午後4時、ラズリの散歩に出る。横須賀野菜の直売をしているおばさん宅前に行くと、春キャベツが売られていた。一個30円と50円。大きいのが50円だった。
 昨日、道の駅「すかなごっそ」で売れ残ったキャベツを息子さんが鎌倉まで運んできたのだろう。30円のキャベツを買った。
 キャベツを片手に持ちながら、またモッチャンのことを思い出した。
 サークル棟に泊まって夜遅く、モッチャンはしばしば隣接するキャベツ畑に行ってキャベツを泥棒していた。年に2回キャベツのシーズンはあるので、春秋3カ月くらいは無料のキャベツがあった。農家の被害は大したことがない、とはいえ、立派な犯罪である。
 ビールは第1食堂から調達した。痩せっぽっちのモッチャンは窓から調理室に侵入し、冷蔵庫の冷えたビールを盜むのが常だった。学食は予防対策を取らなかったし潰れもしなかったので、犯罪には当たらない(と信じてあげたい)。モッチャンの授業料は年1万2千円だったので、盜んだビールの総額のほうが高かったのは確実だ。
 こういう人がちゃんと寿命を全うすると、大した人間になっているはずだ。
 30円のキャベツを手に持ちながら、殊勝にも私は祈るような気持ちになっていた。
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