昨夜、『あの日、あの味〜「食の記憶」でたどる昭和史』(月刊望星編)を読み始めた。66人の著名人・文化人が思い出深い食について綴ったエッセイ集で、ほぼ年代順に再構成されている。昨日は昭和元年から20年までの「食うことが大変な時代」を振り返った15編を読んだ。
当然のことながら、毎日が飢えとの戦いや粗末な食事のなかでお腹いっぱい食べた塩茹でじゃがいも、というような食の思い出が多い。
今朝、先月に買ったカルディコーヒー「マイルドブレンド」の封を開け、丁寧に淹れた。店頭で無料試飲できるコーヒーがこれで、いちばん安いコーヒー豆だ。が、意外と言っては失礼だが、美味しいと感じた。
神戸に「にしむら珈琲店」という名だたるコーヒーの老舗がある。ブレンドも各産地別の豆も全体的に浅煎りで、したがってライトなテイストというのが自分の好みなので、90年代から10年間くらいは通販で「にしむら」のブレンドを購入していたこともあった。
カルディのマイルドブレンドは、この味に近いのである。値段は6分の1くらいなのに、である。
空腹が最大のごちそう、という形容があるけど、先に出した「食の記憶」エッセイを読んでいても、退院の前々日に隠れ飲みをしたファミマの100円コーヒーを飲んだときも、昂ぶる欲求と望みがあると、美味さは幾倍にも高まるものだ。
私は餓えの時代を知らないし、経験もない。が、学生時代、帰省もせずにアパートで正月を越すような4、5日、パンと安いジャムと乾麺とカップスープくらいで食いつなぎながら(旨いものを腹一杯食べたい)と夢見ていたものだ。いや、実際はそこそこに美味しい中華やトンカツやピザも食べていたし、パンはポンパドール、コーヒー豆はキーコーヒーで買っていたくらいなので、戦前や戦中派世代の苦難に「わかります」なんて言う資格はないのだが、なんとなく想像がつく。
とにかく美味しいコーヒーにありつけたことに感謝。
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