一昨日の夜7時半、高校の恩師から宅急便が届いた。段ボールを開くと4冊の歌集と手紙が入っていた。
先生は短歌結社を主宰されていて、メールやLINEで毎月会員から短歌を受け取っているので、本来は読後に手書きで礼状をしたためるのがふさわしいのだがメールで感謝の意を伝えた。15分後、メールの返信があって、22日月曜日に白内障の手術を受けられる、と。どうか無事、手術が成功しますように。いっそう厳かな気分になって、2011年から14年の短歌集を開いた。
月齢など気にせず過ぎし幾日か今宵ゆくりなく天心の月
(2012年)
辞書を引いた。「ゆくりなく」は思いもかけずの意。
わずか31音で、(歌誌の編集や歌人・教え子らとの交遊による)慌ただしさとか、普段の夜空とのつきあい方とか、万葉以来の自然観など、先生の「日乗」が伝わってくる。
2011年の夏(だと推測できる)歌には、高松から上京されたときに詠んだ歌があった。おそらく高校の同窓会関東支部に招かれたときの前後で偶然にも、「集会」が催されていたのではないか。
反原発と声に出だしぬ明治公園五万人の中の一人となりて
私は相も変わらず同窓会の類にはいっさい出ないのだが、こうした先生の近況や日常を知るだけで十分に自分の立ち位置だとか不真面目さを教えられるのである。
まず1冊目の歌集を読み終えた。わからない古語は『基本古語辞典』(小西甚一著)で調べ、自分なりによく考えて解釈するよう努めた。本棚から古語辞典を引っぱり出したのは5年ぶりくらいかもしれない。
受験の参考書として小西甚一の『古文研究法』を高2高3で2回ばかり読んだのだが(理解できていたかどうか)、ひょっとしたらこの参考書も先生から勧められて学んだような気がする。先生は現国の担当だったが、当然のことながら古典に通暁されていて、放課後、古文の解釈で疑問があると質問をしに行っていたから。
星もひかり月もさやけしこれ以上何望むなくこよひは寝ねむ
(2013年)
星々が輝いて月の光も明るい。これ以上のことなんて望んではいけません、と思って、私は寝ることにいたします。
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