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2018年08月12日23:09

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NHK「祖父が見た戦場」

 天皇裕仁の玉音放送を聞いて戦争終結を知った日本国民はどう感じたのだろう。
 日本が負けるはずはない、戦争を続行していこう、といまだ意気軒昂な国民と、ようやく戦争が終わったと安堵する国民の比率はいかばかりか? それから15日が経って、マッカーサーが厚木基地に降り立ったことで敗戦は誰の目にも可視化されたが、その頃になってもまだ戦争を遂行していきたい国民がたくさんいたのだろうか? 
 今にして思えば、ナンセンスだとは言え、両親にこんな質問をしておくんだった。
 昨日の夜9時、NHKスペシャル「祖父が見た戦場 ルソン島20万人の最期」を見た。不謹慎な言い方だが、フィリピン戦に深い関心のある私にはドンピシャリのドキュメントだ。NHKの小野文惠アナウンサーが戦死した祖父の足跡を母とともに現地を訪ねて追う、という内容だった。
 タイトルからして、日本の戦争責任については触れないだろうと思っていたのだが、日本軍によるフィリピン女性へのレイプやマニラ市民の虐殺(火を放って処刑)を言及していたので、NHKの良識が保たれていることに安堵した。ちなみに、日本軍によるフィリピン人虐殺数は111万人とされている(『キーワード日本の戦争犯罪』雄山閣刊)。
 戦後、日本政府は自国兵とフィリピン人とも戦死者(犠牲者)を調査することなくこんにちまで来た。そのうち忘れるだろう、という事なかれ主義は厚顔無恥と評する以外に言い様がない。犯罪をおかしておいて捜査をしない国が果たして法治国家と言えるだろうか。
 何度でも書いておく。
 1984年、会社の夏期休暇を利用して、7泊でフィリピンを旅した。昨日のNスペでも出て来たルソン島北部の主要都市バギオに行った。青い海でも見ないといまいちフィリピンに来た気がしないので、これも昨日出て来たサンフェルナンドに出て、その近くにあるリゾート地ハンドレッド・アイランドのホテルに連泊することにした。
 ホテルの周りに何もない。夜、フロントにいた私と同年代の男と話を始めて30分くらいが経った時だ。
「私の祖父は日本軍に殺された」と彼は言った。
 よく意味がわからず聞き直した。
「ここから近い村に日本軍はやって来て、男は全員虐殺されたのだ」と私に説明した。
 私はそれまでマニラで市街戦があったこと、ミンダナオ島やレイテ島でアメリカ軍と戦ったことくらいしか知らず、恥じ入ってしまったのだった。それは日本軍がフィリピン人を殺したことではなく、私も含めたほとんどの日本人がそんな歴史をほぼ知らないという教育のなさに対して。
 これも繰り返し言いたいのだが、私が泊まったホテルは海の上にせり出したような崖上にあって、ロケーションは最高だった。私が泊まる数年前、ここにサンミュージック御一行様が社員旅行でお泊まりになったそうだ。
 フロントの男が「モリタケンサクという俳優を知っているか」と私に問う。
 日本ではフェイマースだ、と答えた。
「モリタケンサクというのは最低な人物だ。そこのベランダから海に向かって銃で撃ちまくるんだ。ここで発砲するのは禁止されている、やめなさいと彼に注意しても、モリタは私の言うことを聞かなかった。いったいどういうやつなんだ?」
 森田はただの演技下手の俳優で、まだ議員でも知事でもなかったのだが、フロントの男から日本軍の虐殺話を聞かされた上に、傍若無人なモリタケンサクの与太話まで譴責されるように責められて、非常に不愉快であった。
 もし森田健作がこの日記を見ていたら、少なくとも私に謝罪して欲しい。大枚はたいて連泊したホテルで、従業員からおまえのせいで文句をつけられたのだから。
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