ツインピークス
昔観たはずのツインピークスだが、ドラマの記憶が曖昧で飛んでいる部分も多いので、もう一度全てを観直してみた。記憶が正しい部分もあれば、間違っている部分もあった。そして、ストーリーの多くの部分が記憶から消滅してしまっていた。湖岸で透明のビニールに包まれ全裸の女子高生の遺体が発見されるところからドラマは始まる。遺体は手足を縛られており、検視の結果、殺される前に、少なくとも3人の男と関係を持っていた証拠が見つかる。ドラマでは、最後までローラが殺害された詳しい状況は明かされない。ローラを殺した犯人が誰だったのか、覚えていない理由が、ツインピークスを全て観直して分かった。サスペンスドラマ的な意味での犯人は、一応示されてはいた。実際に手を下したという意味での犯人が誰かはドラマを観れば分かるようにはなっている。だが、そのサスペンスドラマ的な意味での犯人は、最後に私は誰も殺していないと言い切った。それは事実だろうと思う。つまり、ローラ殺しの犯人は別にいた。それが正しいのかどうかも判然としないが、真犯人が別にいたという判断は間違ってはいないだろうとは思う。恋人を元同僚の殺人鬼に誘拐されたツインピークスの主人公であるFBI捜査官のクーパーは、地元の保安官達と共に二人を追って森へ入っていく。殺人鬼の目的地は、森の奥深く、ブラックロッジと言われる特殊な場所だった。ブラックロッジにたどり着いたクーパー捜査官は、地元の保安官を制して、1人でブラックロッジに入っていく。それが最終回。ブラックロッジの中では、有名な赤いカーテンの部屋があって、そこで異様でシュールな寸劇が繰り広げられる。
デヴィッド・リンチが監督を務めたシーズン2の最終回だが、謎だらけなのだ。ちなみに、デヴィッド・リンチは、クーパー捜査官の耳の遠い上司役で登場する。ツインピークスの個性的な住民は、それぞれに難題を抱えていて、並列的にドラマは進んでいく。最終話では、ホテルのお嬢さんが銀行の貸金庫室の鉄格子に手錠をはめられて縛り付けられていた。お嬢さんは、年老いた銀行員に、水を飲ませてもらって、新聞社とFBI捜査官を呼んで欲しいと年老いた銀行員に懇願している。そこに、知り合いの初老の男が二人やってきて、貸金庫の中へ入っていく。鉄格子に縛り付けられたホテルのお嬢さんを見てもほぼ無視状態だ。二人の初老の男が、貸金庫を開けた途端、大爆発が起こる。町の有力者だったホテルの社長には、隠し子がいたことが発覚する。ローラと同級生の医者の娘だが、実は、医者の娘の母親とホテルの社長との間にできた子供だったのだ。同級生のホテルのお嬢さんとは、腹違いの姉妹になる。それを知った医者の娘は、家を出て行こうとする。そこにホテルの社長がやってきて、医者は、家庭を破壊するなとホテルの社長を突き飛ばす、突き飛ばされたホテルの社長は、頭を強く打って血を流して倒れ込む。無理やり殺人鬼の手下にされていた男は、山小屋で縛られ、口に紐をくわえている。その紐の先にはタランチュラの入ったカゴがぶら下がっており、口にくわえた紐を離すとタランチュラの入ったカゴが落ちて壊れ、男をタランチュラが襲う仕組みになっている。自分を女子高生だと思い込んでいた三十路の怪力女は、砂袋の直撃で正気に戻り、夫の浮気に狂ったように暴れだす。一方ブラックロッジに入っていったクーパー捜査官は、恋人を無事連れ出すことには成功するのだが、その身にとんでもないことが起こっていた。気を失っていたクーパー捜査官をホテルの部屋で寝かせ、保安官達が見守っていた。クーパー捜査官は、やがて、気がつくのだが、歯を磨きたいと言い出す。洗面所に入って行ったクーパー捜査官だが、どうも様子がおかしい。洗面台の鏡に自分の頭を打ち付けて鏡を割る。その鏡には、別の男が映っていた。ツインピークスのいたるところで激しいフラッグが立っており、そのフラッグをそのまま残して、突然、ツインピークスは終わりを告げる。その後、ツインピークスが、どうなったのか分からない状態で25年間放置されることになる。放置された理由だが、デヴィッド・リンチは、このままツインピークスシーズン3を撮りたかったようなのだ。デヴィッド・リンチの交渉虚しく、テレビ局は視聴率の低迷を理由にツインピークスシリーズの打ち切りを決定する。視聴率低迷の原因は、ローラ殺しの犯人を特定してしまったがためのようだ。テレビ局は、ドラマの途中で犯人を晒すという暴挙を行ってしまい、視聴者は、犯人が特定されたことでドラマへの興味を失ってしまったようだ。テレビドラマの限界と言うか、お偉いさんの圧力というか、視聴者の要望に応えるという名目で、ドラマのキーになる犯人をドラマの途中で明かすという、とんでもないミスを犯してしまう。デヴィッド・リンチとしては、痛恨のシナリオ変更だったのだろう。ツインピークスシリーズ2の最終話、デヴィッチリンチが久々に監督になると、これでもか、とフラッグを立てまくる。これも、ツインピークス打ち切りへの抵抗だったのだろう。そんなデヴィッド・リンチだが、ツインピークスへの情熱は失っておらず、続編を制作したいと願い続けていたようだ。それが実現しそうになるのだが、今度は、デヴィッド・リンチ外しが起こってしまう。つまり、テレビ局は、ツインピークスの続編になるシーズン3を、デヴィッド・リンチ抜きで進めようとしたのだ。営業的な判断だったのではないか、と思われるが、これには演者が猛反発する。デヴィット・リンチ抜きでのシーズン3は、乱立していたフラッグの回収に終始するような陳腐なドラマになっていた可能性がある。起こっている出来事や事件は、アメリカではよくある出来事であり、それを、ただ解決するだけなら、結局は陳腐なドラマにならざるおえない。そこを、どう斬りこむかは監督の采配に委ねられる。演者達は、ツインピークスは、デヴィッド・リンチのものだ、と言う。どう表現するかは、監督が決めることなのだと。結局、シーズン3は、デヴィッド・リンチが全て監督を務めることになったのだが、これが、とんでもないことになっているようだ。まともにフラッグを回収しようなんて思いは、デヴィッド・リンチにはない。はたして視聴者がついていけるかどうか、という視聴者とデヴィッド・リンチとの戦いの様相を見せているのだとか
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