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2017年05月14日21:10

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里の時間

 昨日は岩波新書の『里の時間』を読んだ。日本全国の里山や過疎地20箇所の人間をルポした小品集で、『失われた時を求めて』(プルーストの大作)を敷衍すると『失われゆく風景を求めて』という内容で、宮本常一の『忘れられた日本人』『山に生きる人びと』の21世紀初頭版だった。取材期間は2006〜2012年で、新書の初版は2014年10月刊。ブックオフに行ったら岩波新書かちくま新書を必ず1冊以上買う、というのをお約束事にしていて、ゴールデンウィーク明けに買った。
 福井県今立郡池田町金見谷地区(11世帯)、高知県長岡郡大豊町八畝集落(36世帯)というように、場所がどのあたりなのか見当つかないところばかりなので、一篇を読み終わるたびにネットの地図で場所を確認し、さらにメモをとった。内容はわかりやすいのにいちいちこんな手間暇を掛けてしまったので、読み終えるのに5時間を費やす。まるで日本中を旅したような気分。
 昼過ぎ、ラズリが2度にわたって強烈な嘔吐をした。獣医に連れて行こうかどうか、ずいぶん悩む。雨の中、トイレのために散歩へ連れて行き、歩く姿や目の輝きを見て、とりあえず絶食させて様子見することにした。かかりつけの獣医は土曜も午後8時まで開いている。少しでも異変があれば診察してもらおう。夜6時にブルガリアヨーグルトをカップ半分ほど与えてドッグフードはなし。ラズリはあっという間にヨーグルトを食べ終えてから、しばらく私の次の動作を見守っていたのだが、他に食餌が与えられないことをすぐに悟ったようだった。我が子ながらホント頭の賢い犬だ。
 夜遅く、夕刊を読んでいたら、<国連委「元慰安婦救済実現を」 日韓合意 韓国に見直し勧告>という小さな記事が出ていた。
 国連拷問禁止委員会が、2015年の遺産婦問題をめぐる日韓合意について「見直しをすぶべきだ」と勧告。元慰安婦に対して、救済措置や賠償の提供をし損なっている、との懸念を表明した、とあった。調べてみたら、安倍ソーリご推薦の読売でも同様の記事が載っていたようだ(http://www.yomiuri.co.jp/world/20170513-OYT1T50052.html)。 
 この問題に対しては、政府もマスコミもきわめて悪質きわまる態度を貫いていて、これまで国連の関係機関や、あるいはなぜかよくわからぬがアメリカやイギリスの議会でも日本政府の歴史総括を見直す注意喚起がたびたびおこなわれていても、テレビではニュースにさえならない。新聞でも掲載しないかせいぜいがベタ記事扱いである。他方、韓国の日本大使館前にある慰安婦像に対しては、まるで仇のように侮蔑的な報道をし、自分たちの歴史を都合よく改竄して韓国民を嫌悪する。「みっともない憲法ですよはっきり言って」(@安倍ソーリ)を真似すると、「みっともない歴史ですよはっきり言って」だ。オイシイ仕事ありますよ、と貧困に苦しむ地域の女性を騙して「慰安所」に連れて行き、翌日から1日に30人も40人もの男の相手をさせて、しかも射精し終わった男から唾をふっかけられるというような目に合わせた歴史をなかったことにする、というのは、二重にみっともない。現在に至っても解決していない元慰安婦に対する人権軽視はセカンドレイプに等しい。
 
 今日は、嬉しい一日の始まりだった。
 ラズリはやっぱり普段通りに健康で快活だった。昨日の嘔吐はなんだったのだろう。
 野坂昭如最後の著書『絶筆』を読み始めた。死ぬ間際までの日記だ。この人は、知れば知るほど好きになる。脳梗塞以降、弱気と強気が交互にやって来て、ますます人間味が増していることが感じられる。
 昨日、ラズリが吐いて汚れたラグマット2枚を洗った。午後になって晴れ間も見えてきたので、干す場所が出来て嬉しい。
 今日は十分に散歩した。
 午後の散歩のあと、ずっと気に掛かっていた山から出る水の排水溝を掃除することにした。細かな泥と落ち葉が溜まっていて、水がうまく流れなくなっていた。そのまま放置しておくと、梅雨時、ますます水はけが悪くなって、石段や下の道路が冠水する事態になりかねない。
 30メートルくらい、葉っぱと泥をかきだして、その都度山に捨てに行った。
 パンツとシャツが少し汚れたのが失敗だったが、いい汗をかくことが出来た。
 たぶん心の隅に『里の時間』があった。自分の住む地域と人を守ることが生きるということ。というのが過疎地の掟なのだが、まあ半分は真実だろうな。
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