月に1回、トモチンと「今月の写真」を交換し合っている。トモチンは65歳の自称フリージャーナリストで、昔むかし私が彼のデビュー本を1冊編集した時からの腐れ縁だ。トモチンは明後日木曜日から上海経由でタイに行く予定なので、はなむけを送る気持ちで今日、大雨の中、デジタル一眼を携えて文字通り「雨」をテーマに散歩した。
私は雨が好きだ。そう言い切れるのには、たぶん高橋洋子の影響がある。
女優高橋洋子が好きなわけではないのだが、映画『サンダカン八番娼館 望郷』の汚れ役が印象的だったというベースがあって、その後唐突に『雨が好き』というどろどろとした恋愛小説を書いて発表したのがかっこよくて、そう言えば自分も終日パジャマのままアパートの一室から出ない雨の一日が好きだった、と思ったのだった。人間は思い込みの動物だ。
何を撮ろうか、と歩き回った。葉っぱの上の雨粒、濡れそぼった桜の花、水流の強い川、未舗装の道に出来た水たまり、濡れて鏡のような石畳、雨が映り込みそうな森。
いずれも撮ってみた。
午後3時半の雨は思いの外強くて、大切なデジイチを包み込むようにして歩いた。
まあ、こんなところでいいかな。「今月の1枚」のタイトルは、当然「雨が好き」。
写真を選びながらどれを今月の1枚にするのかすごく迷った。
雨に濡れた海棠は、写真的にはいいのだが、きれいにまとまり過ぎている。自分裸子のは水たまりの雨紋だ。それはそれでいろんな雨模様があってセレクトしづらい。
トモチンには日記を書く前にメール添付で送った。ボン・ボヤージュ。
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