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2015年07月18日15:53

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新国立競技場 

 新国立競技場問題で、建築費が数倍になったり、構造上の問題が出て来たりで、結局、当初のデザインが白紙撤回される事になった。この新国立競技場絡みのコンペが、当時NHKのドキュメンタリーで一部経緯が放送されていたのを偶然観ていた。フランスのルーブル美術館別館(ルーブル・ランス)を設計した建築家でもある妹島氏と西沢氏のユニットSANAAを追ったドキュメンタリーで、新国立競技場のコンペにも参加していた。SANAAはプリッカー賞も受賞している実績十分の建築ユニットだ。新国立競技場国際コンペには、最終的に3つの案が残り、SANAAの案も入っていた。決選投票をしても、3点とも同点となって横並び、甲乙つけ難い中、最終的には選考委員長の安藤氏が例のザハ案を強く押して決定した。安藤氏の意向が強く反映された選考となったのだ。その後の経緯は、報道されているので、ご存知の方も多いだろうと思う。最初にザハ案のデザインを見たのは、その時のドキュメンタリーでだった。曲線だけで構成されたデザインで、それ意外の要素があまり感じられないのがザハの特徴だろう。つまり、実用は前提とされていないと言う事だ。不評を囲った巨大な建築物で思い出すのがパリのエッフェル塔だ。万国博覧会用に造られた鉄塔で、産業革命で大量生産された鉄を使った建造物として展示用として造られた建物だった。当初実用目的ではなかったのだ。この鉄の塊は、非常に不評で、壊す事が決定していた。それが、今ではパリの名所として残った訳だが、その理由は、軍事的な電波塔として利用できたからだった。今では、パリの街にも馴染んでいるが、電波塔としての利用価値がなかったら、壊されていた建物だ。今回の新国立競技場のザハ案は、エッフェル塔以上に無理がある。デザインの趣味は人によって違うだろうが、エッフェル塔が鉄ありきで、決められたのと同じように、ザハ案もインパクト重視で決められた感が強い。つまり実用がまるで考えられていないのだ。エッフェル塔は軍事用の電波塔として生き残ったが、日本の新国立競技場、ザハ案は、白紙撤回された。白紙撤回が遅過ぎた感が強い。この国際コンペが開催された時は、まだ東京オリンピックが決定しておらず、現実味が無かったのだが、東京オリンピックが決定し、実際に新国立競技場を建設する事になり、問題が噴出する事になる。コンペ主催者の意向として、まず、屋根ありきだった。どうしても屋根をつけたかったようで、開閉式にすると言う。そのため、コンペに参加したデザインの多くが屋根に特徴がある。最初のコンペは、屋根コンペのようなものだ。競技場そのものをどうするかが、ほとんど考えられていない。屋根のデザインを競っている、と言う感じで、ザハの奇抜なデザインが安藤氏の強い推薦で選ばれた。だが、この案、実は、建築家が見れば、問題が出るのは直ぐに分かるはずだと言う。話題になっているキールアーチだ。サッカー等の国際的な大会を誘致するには、観客席に屋根が必要なのだそうだ。収容人数も8万人となっている。サッカーを開催するには天然芝でなくてはならない。人工芝にはできないのだ。オリンピックのような競技会では、意図的に気圧を上げるのも問題視されるかも知れないので、ドームのような構造は難しいのだろう。天然の芝生を育てるには直射日光が必要になるため、コンペでは開閉式の屋根が考えられたのだが、屋根を開け閉めするだけで膨大な金がかかる。福岡ドームが開閉式だが人工芝だ。天然芝を使用するなら、屋根は開いていた方が良い。競技場重視よりもコンサートホール重視で、開閉式の屋根等が考えられたのかも知れない。この新国立競技場の建築費が膨大に膨れ上がったがために、選手育成にあてる予算が削られる事になっていた。屋根をつけるがために、天然芝が上手く育たず、競技場としての機能は低下、サブトラックも無く、国際的な競技会用の競技場としては、使えないような仕様となってしまっていたのだ。その上で、さらに厄介な問題が、キールアーチだ。鉄の橋を競技場に平行に架ける仕様で、それを支えるための基礎に非常に金がかかる。やってやれない事はないそうだが、地下鉄の駅を基礎がぶち抜く恐れもあったのだとか。そのくらい深く基礎を打ち込まないと、キールアートを支え切れないのだそうだ。橋としても非常に難しい構造で、ギリギリのバランスでアールを保っているような状態になる。大地震等が起こった場合、どうなるのか予想もつかない。鉄骨でできたキールアーチが崩壊する危険もあった。日本で起こりうる大地震を想定していなかった事も大きなミスだろう。普通、橋には、橋桁があり、つり橋は多くのワイヤーで吊られている。だが、このキールアーチには、橋桁も無いし、つり橋状でもない。自らの鉄の強度だけで支えるしかない。日本には、多くの巨大な橋を建設した実績があるので、やってやれない事はないだろうが、そんな日本の建築会社でも難しいと言う程、アクロバティックな構造をしていた。たかが橋と思う人もいるかも知れないが、この鉄の巨大な橋が崩壊したら大事故になってしまうのだ。意匠のためだけに、この危険極まりない構造を選択する意味が分からない。デザインが良いか悪いかの問題より、安全性の問題の方が大きいだろうと思われた。このキールアーチ、アーチのように見えるが、実はアールが小さ過ぎてトラス構造とさほど変わらない。これも大問題だった。建築家なら、その問題を直ぐに分かったはずだが、唯一参加していた建築家の安藤氏は、この事を他の選考委員に説明したのだろうか。ザハ案を通すために、問題点を良く説明しなかったのではないのか。夢としては楽しいだろうが、現実に建築するとなるとデザインを変える意外に方法がなく、へたにザハ案をいじくって無惨にするなら、白紙撤回してやり直した方がまだ誠実だろうと思える。







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