朝、散歩に出ると、ご近所の親しい犬仲間が寄ってきた。
老犬チェリーが土曜日、静かに息を引き取ったことを伝えられた。その前日、朝と夕に2度、チェリーがゆっくりと散歩している姿と出会っているので、まさかこんなに早く亡くなるとは思いも寄らなかった。1カ月ほど前、飼い主の彼と立ち話をした折、ドッグフードを食べるかどうか訊いたところ、いまはトッピングなしで完食していると言われたので、「それなら当分大丈夫だ。あかねもあずさも、亡くなる半年前から味つけをした鶏肉やちくわをドッグフードに乗せないと食べないようになっていたから」などと自慢気に話したところだった。
その家の庭に、造園業者が梅の老木を植えている最中だった。樹齢40年だという。濃いピンクの花が咲いている。その根の近くにチェリーのお骨の一部を埋めるそうだ。
帰宅して朝食を摂った後、昨日深夜、YouTubeで見つけた「流星ワゴン」(TBS系ドラマ)のテーマ曲をダウンロードした。もし過去のあの時自分が違う行動をとっていれば今の悲惨な状況を招かなかったかもしれない。「流星ワゴン」は過去に遡ってもう一度人生をやり直そうとするSF仕立てだが、深い後悔の念がないにもかかわらず見ていて毎回、苦い思いを味わっている。
テーマ曲は千住明が作曲者だ。ダウンロードしたMP4動画から音だけを抽出し、MP3に変換してスマホの着信音にしておこう。
NTT電話からスマホの番号に電話したらいい感じになったが、ドラマの哀しいシーンをつい思い出して泣きそうになる。ここで宅配便が届く。タイヤとチューブが来た。
こんなことをしていたらあっという間に正午。
あと2時間半であの地震か……。
もし原発さえなければ、と想う日本人はきっと大勢いるはずだ。
今日はタイヤ交換をする予定なので、普段より3時間も早いが午後1時半、ラズリと2回目の散歩へ。犬仲間の家のそばを通ると梅の剪定をしていたので、大ぶりの枝をもらって帰った。枯れた花や枝を切りそろえて花瓶に入れた。かぐわしい匂いとはこのことだ。室内に梅の花を飾ると、これほどに濃密な香りがするのか、と驚く。
時計をちらっと見たら午後2時過ぎ。タイヤとチューブを交換しよう。
風が強かったこともあって、自室で作業をすることにした。うまく行けば1時間半くらいで終わるだろう。
後輪を外すのは難しいので前輪から始める。
簡単にタイヤを外すことが出来た。順調だ。
そこからまさかという悪戦苦闘になった。リムにチューブを這わせてタイヤをはめ込む、というのは書けば一行だが、タイヤがあと一歩のところではまらない。室内は寒いのに冷や汗が流れる。一所懸命にタイヤをひっぱってりむに押し込もうとするのだが、タイヤが堅くてびくとも動かなくなって、そのうち指が痛くなってきた。
いったん諦め、MacBookで「自転車 タイヤ 交換 はまらない」と検索をかけていろんな人のアドバイスを読む。が、不器用な私に適切なアドバイスはない。
あっという間に2時間が過ぎる。検索で出て来た動画2本を見てみた。
その1つに触発され、ゼロからもう一回やってみたら、奇跡的にはまった。本当にはまったのか、自分でも信じられない。時計を見たら、午後5時15分だった。前輪だけで3時間かかったのか、と思ったし、とりあえず1本出来たじゃないか、とも思った。
せっかちな性分ゆえ、この勢いで後輪もやってしまおうかと気が逸ったが、日がだんだんと暮れ始めている。昔、おかんが靴をおろすのは朝にしなさい、縁起物だから、という忠告を繰り返していたことを考えると、タイヤは自転車の靴部分だから今日は前輪の交換だけに留めておく。後輪はチェーンや変速機をよけないといけないので、作業量が倍加する。急いでやると、部品を外したはいいものの組み立てられなくなる可能性が高い。自慢じゃないが鎌倉一の粗忽者、県内一の迂闊な性格だ。自分の欠点は言われなくても知っている、安倍とは違うんです。ああ、福田元総理のほうがなんぼかましだったな。
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