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2024年04月03日20:33

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「サンカ」の権威?三角寛

・サンカ奇談 増補版(1920-30) 作:三角寛
三角寛(みすみかん)という名に心当たりがあるのは、超高齢者を除けば余程の物好きか暇人だろう。私は成り立て高齢者だが、暇で物好きなので即買いした。
サンカ(山中で生活する流浪民)の権威を自称する元新聞記者で、戦前のベストセラー作家だ。ドキュメンタリーと称してフィクションを連ねるのはまだしも、もっともらしく発表した文化習俗に関する「研究」の大半が単なる作り話であることが判明している。
数年前に真面目な民俗学者が書いた本を読んだ。ボロクソに叩かれていたので、かえって興味を持った。著作を調べるとすべて絶版だ。古本を探すほどでもないので忘れていた。このたび河出文庫の新装版で読んだ。

短編が九本と講演会の原稿が収録されている。大昔の大衆小説だなあ。素朴な山の民が凶悪犯の捕物に協力したり、義侠心に富んだ親分や純情な乙女が出てくる。架空実録は昭和の頃は許された手法だ。フリッツ・フォン・エリックが鰐を掴み殺したり、ジャイアント馬場がそれに対抗するため顔の上を自動車で轢かせる特訓したり、誉めて言えばおおらかなホラ話だ。存在がファンタジーみたいなプロレスならいいが、実在する社会階層を妄想で描くのはまずいだろう。
大衆小説の文化史を知るために一冊は読んでおきたかった。これで満足です。★★

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