涅槃会

昨日の2月15日はお釈迦様が入滅された日ということで、いろいろなお寺で涅槃会が執り行われました。
今日のカットは法隆寺さん五重塔北面の涅槃像を取り囲む羅漢さんの一人です。
師の入滅に接して、誰憚ることなく、大声で嘆き悲しむ姿を見事に表現しています。
デザインして切っていると、その慟哭の声が聞こえて来るように思えます。
私のこれまでの人生の中で、自分の親のときでさえ、これだけ悲しみの感情を、抑えることなくむき出しにした経験はありません。
それだけ情が薄いのだろうかと、自問自答もします。

もう一つ凄いのは、この像が土でできているということ。
もちろん、繋ぎの材料は混ぜてあるとは思いますが、感情までのきめ細かな表現力、その完成度の高さから、卓越した腕を持った仏師の作でしょう。
さらに、この像が1400年も壊れずに保存され、今日も拝観できることです。
もう、奇跡としか言いようがありません。
拝観されるときは、五重塔の外観だけでなく、塑像群を４面とも漏らすことなく時間に余裕を持って拝観されることをお勧めします。