mixiユーザー(id:712728)

2022年06月03日23:46

35 view

ワン・セカンド 永遠の24フレーム

文化大革命の頃の中国の僻地にて、一人の男が巡回映画を見ようとやってきた村でフィルム缶が盗まれるのを目撃し、盗人を追いかけて奪い返したところ盗人は少女だった。フィルム缶を返そうとしたら既に移動した後で、男は隣の村まで砂漠を歩いて移動する。途中でトラックに拾われて助かった男は砂漠で少女に再会するものの少女の策略によりトラックから降りてしまう。何とか辿り着いた村では人々が大騒ぎをしている。楽しみにしていた巡回映画のフィルムが路面に落ちてぐちゃぐちゃになってしまい、村人から尊敬されている上映係のオッサンは皆が力を合わせてフィルムを洗浄するよう呼びかける。謎の男は収容所から逃げてきた逃亡者で、ニュース映画に少しだけ映っているという自分の娘を見るために巡回映画を追いかけていて、少女も弟のためにフィルムを盗もうとしていた理由があり、村で再会した二人の魂が交差する。
チャン・イーモウ監督の新作は映画愛に満ちた人間ドラマ。単純なお涙頂戴にならない複雑な背景が独特の面白さを放つ。映画が始まったときはどんなストーリーになるのか未知だったが、こんな風になったのか。
久しく見ていないが、子供の頃に見た巡回映画ってかなりワクワクしたものだ。近所の広場に大きな布のスクリーンを張って、日が暮れてから上映が始まる。どんな映画を見たのか覚えていないけど、友達や近所の大人たちと一緒に見て何かを共有したような気がしたものだ。本作はそんなワクワク感を久し振りに思い出した。中国の人たちも映画が好きなんだな。でも上映される映画がつまらなそうなプロバガンダ映画。映画の内容より皆で見る、ということが大事なのかもしれない。
本作は文化大革命への監督なりの批判があり、あの政策は人民に何をもたらしたのか。普通に生活していれば主人公の男も強制収容所に入れられることもなく、幼い娘も大人に交じって労働する必要もなく、少女や弟も普通に生活できたはずなのに。せめてニュース映画に1秒だけ映っている娘を見るしかない、とはあまりに悲しい。
1 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2022年06月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  

最近の日記

もっと見る