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2018年02月27日01:35

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「そだねージャパン」は現代の二・二六将校である

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平昌五輪における銅メダル獲得の快挙で大ブレークしているカーリング女子日本代表、ネット愛称「そだねージャパン」。

中でもチームの司令塔スキップをつとめる藤澤五月の親しみやすい美貌が注目集めているけど、僕くらい鋭敏な感度を誇る「可愛い子」へのセンサーの持ち主になると、彼女の可愛さはすでに前回のソチ五輪で代表を逃したときからマーク済みである。気づくのが遅いよ、世間。

――とはいえ、ようやく彼女の美しさが世に知れ渡ったことを嬉しく思う一方、それほど世間で注目されていなかった頃から彼女を応援していた身からすると、いわば、応援していた実力はありながらなかなか世間的認知を得ていなかったインディーズバンドがヒットを飛ばしメジャーブレイクを果たした様を、祝福しつつ一抹の寂しさを覚えながら見送っている「コアなファン」のような心情に捉われてしまっている我が身も否定できない。つづめていうと、「ああ、もう僕だけのさっちゃんではなくなってしまったんだね」という複雑な心理である。

ところで、「そだねージャパン」が日本に凱旋した2月26日は、いうまでもなく二・二六事件82周年のアニバーサリーである。カーリング女子五輪代表と二・二六の青年将校――あまりに飛躍しすぎるロジックかもしれないが、僕の中では彼女ら・彼らを結び付けたい連想が生じてしまった。

二・二六事件の歴史的評価は、全否定から「義挙」にいたるまで、いまもって定まっていないようだけど、僕は、橋川文三〜三島由紀夫〜村上一郎〜松本健一といった、二・二六の青年将校に同情的な作家たちの著作を読んできたこともあり、そこに一筋の「純情」を見出したく思っている。

「二・二六事件は、戦術的に幾多のあやまりを犯している。その最大のあやまりは、宮城包囲を敢えてしなかったことである。北一輝がもし参加していたら、あくまでこれを敢行させたであろうし、左翼の革命理論から云えば、これはほとんど信じがたいほどの幼稚なあやまりである。しかしここにこそ、女子供を一人も殺さなかった義軍の、もろい純潔な美しさが溢れている。この「あやまり」によって、二・二六事件はいつまでも美しく、その精神的価値を永遠に歴史に刻印している。皮肉なことに、戦後二・二六事件の受刑者たちを大赦したのは、天皇ではなくて、この事件を民主主義的改革と認めた米占領軍であった」(三島由紀夫「二・二六事件について」)

二・二六事件の思想的指導者であった北一輝が『日本改造法案大綱』で示した日本民主化のロードマップは、その大半が大東亜戦争敗戦後GHQによって実現されたという歴史のアイロニーは有名である。

二・二六事件で決起した青年将校たちが求めていたものは何か。それは要するに、日本に住むすべての人が「人間らしく」生きられる風通しのいい国になって欲しい――ということだったのだと思う。少なくとも、昭和維新の根源的パトスを朝日平吾の求めた「人間らしく生きる可能性」に見出そうした橋川文三は、ニ・二六事件をそのような事件だとして歴史的に位置づけようとした。

そしてもう一つ見逃せないのは、当時凶作で疲弊していた東北の民衆を救いたい――という義憤が二・二六事件の直接的な契機となっていたことである。実際、二・二六事件の決起将校には東北出身者もいた。そうして、この二・二六事件と東北の繋がりが、僕の強引な想像力を刺激して、「そだねージャパン」の活躍と二・二六の青年将校をオーヴァーラップさせるのである。

「そだねージャパン」のメンバーは、みな北海道・北見市出身である。そして、「そだねージャパン」のスキップである藤澤五月は、元々中部電力のカーリングチームに所属していたのだが、ソチ五輪の代表を逃したことが大きな契機となり、地元・北見で本橋麻里が立ち上げた「SL北見」に移籍することになる。中部電力は、浜岡原発の再稼働を目指しているがその目途は立っていない。スポーツと政治をダイレクトに繋げて論じるのは野暮の骨頂だし、僕もあんまりやりたくないけど、原発再稼働を目指す中部電力の企業チームを辞めたのち、地元北海道・北見のクラブチームに移籍して再起を目指し見事五輪メダリストとなった藤澤五月のカーリング選手としてのキャリアに、「中央の論理」に対する「地方の論理」に基づく一種の「革命」を――さらにいえば二・二六決起将校の志の時を超えた成就を――僕は幻想したくなってしまった、という次第。

あと、「そだねージャパン」のビートルズとの類似性についても一席ぶちたいのだけど、今夜は余力がないので、また後日。



カーリング女子銅NHK瞬間最高視聴率は42・3%
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=8&from=diary&id=5003049
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