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2017年05月05日22:38

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『レッド・ライジング』

たまには現代SFを読んでみた。

・レッド・ライジング(2014)作:ピアース・ブラウン
火星植民者は厳しい階級制度の下で暮らしている。主人公ダロウは、最下層階級レッドの一員だ。残酷極まる拷問と処刑のあと、革命集団「アレスの息子たち」に救われる。支配階級ゴールドの学校に潜入して立身出世し、システムを内側から破壊せよというのだが。

前半三分の一は、格差社会の底辺で呻吟する主人公の日常がねっちりと書き込まれている。夢中になって読んだ。この部分の迫力は特筆ものだ。学校に入ってからは、ややトーンダウンする。第一選抜が、嫌というほど繰り返されている「あのネタ」なのだ。
そのあと寮に分かれて戦闘する。戦略や戦術の妙味はそれなりに面白いが、戦闘のゴールが定められていないので盛り上がらない。「敵を皆殺しにしろ」というわけではない。それぞれの寮に軍旗みたいなのがあるが、別に奪われたら負けというわけでもなさそうだ。とはいえ、少年少女の血みどろの群像劇は読みごたえがある。特にタイタスのくだりにはのけぞった。

後半は場外乱闘めいた反則バトルの連続だ。人の好みにもよるが、私はゲーム小説はあくまでも盤上で決着をつけてほしいと思う。読みながら日本製アニメを思い出して仕方なかった。主人公がひたすらドリルで穴を掘るというのは『グレンラガン』で、エリート野郎の学園に潜入するのは『コードギアス』だ。かなり高い確率で影響を受けていると思う。世界中のクリエイターは、もはや日本サブカルを無視することはできないのだろう。
残念な部分もあるが、総じて面白く読めた。続編が出たら読もう。★★★★
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