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2016年06月18日18:15

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桜桃の季節

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職場の同僚の女の子の実家から送られてきた佐藤錦。宝石のように輝いている。

サクランボというと、僕などはどうしても、

「子供より親が大事、と思いたい」

「生きるという事は、たいへんな事だ。あちこちから鎖がからまっていて、少しでも動くと、血が噴き出す」

などのフレーズで有名な太宰治の「桜桃」を思い出してしまうのだけど、この悲痛な短編が発表されたのは昭和23年5月、太宰の死の直前のこと。この小説を発表してから間もない昭和23年6月13日に太宰は玉川上水に山崎富栄とともに入水する。死体が発見されたのはその6日後の6月19日。小説の題名から取られて太宰の死が確認された6月19日は「桜桃忌」と称されているけど、この季節は実際にサクランボの旬でもあるんだな――と、お裾分けしてもらった宝石のように煌めく佐藤錦を独りいただきながら今更気付く平成28年の6月18日でした。

「子供たちは、桜桃など、見た事も無いかもしれない。食べさせたら、よろこぶだろう。父が持って帰ったら、よろこぶだろう。蔓を糸でつないで、首にかけると、桜桃は、珊瑚の首飾りのように見えるだろう」(太宰治「桜桃」)

――明日は、68回目の桜桃忌。
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