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2016年04月16日23:41

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東京・春・音楽祭 ミュージアム・コンサート 青木尚佳(ヴァイオリン)&伊藤悠貴(チェロ)

(4月16日、国立科学博物館 日本館講堂)
 15年来の友人でいながら共演は初めてという青木尚佳(ロン=ティボー=クレスパン国際コンクール第2位)と伊藤悠貴(ブラームス国際コンクール、ウィンザー祝祭国際弦楽コンクール優勝)によるリサイタル。若いことはいいなと思わせるハルヴォルセンの「ヘンデルの主題によるパッサカリア」の胸のすくような演奏が前半ではよかった。
 最後の曲、ラヴェルの「ヴァイオリンとチェロのためのソナタ」はラヴェル自身が「むきだしの音楽、和声の放棄、旋律の反発」と述べたているように、1920年代としては前衛的な音楽。この野性的で、しかし洗練された高度なアンサンブルを要求される難曲を二人は息の合った乗りの良い演奏で弾ききった。
 
 ソロでは伊藤悠貴がバッハの無伴奏チェロ組曲第1番を、青木尚佳は無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番を弾いたが、その演奏は対照的だった。伊藤は出だしの前奏曲が素直な出だしで「これはいい」と思わせたが、アルマンド、クーラントと進むにつれ、バッハの何を伝えたいのかわからない演奏で音楽に説得力がなくなっていく。サラバンドは前奏曲と同じように素直に弾かれ、かえってこのほうがよいと思わせる。
 一方、青木尚佳は真正面からバッハに向かっていく。雑念が何もない状態で素のまま音楽に集中しているように見える。スケールの大きい演奏で、結果的に大木がそびえたつようなバッハが浮かんでくる。
 様式から入るのか、ひとつひとつの音の意味、和声、対旋律をとことん探るのか。バッハ総体を考察するのか。それとも白紙の状態でまずは弾いてみるのがいいのか。いずれにしてもバッハは難しいと実感させられた二人の演奏だった。

 アンコールはコンサートの最初にも弾かれたシュルホフの「ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲から第2楽章」が披露された。「ジプシー音楽」と副題がつけられた活気のある二重奏は勢いのある二人にぴったりの音楽だった。
 
青木尚佳写真(c)井村重人

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