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2015年06月02日22:59

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ドゥブラフカ・トムシッチのピアノ・リサイタル@武蔵野市民文化会館小ホール

ドゥブラフカ・トムシッチ ピアノ・リサイタル(6月2日、武蔵野市民文化会館小ホール)
世界は広い。まだかつての巨匠を思わせるピアニストがいた。ドゥブラフカ・トムシッチは個性的な演奏で人気を博すスター・ピアニストとは全くタイプが違う。楽譜から純粋に音楽だけをとりだしてきて提示する。作曲家ごとに最もふさわしい様式感と音色、タッチで弾き分け作品の本質に迫る。
スカルラッティの6曲のソナタは端正な表現で一息に弾ききった。
ベートーヴェンの「ワルトシュタイン」ソナタは、第1楽章は速いテンポで嵐のように走り抜けるが、全く乱れることなく正確な指使いで聴かせる。第2楽章ではロンド主題のニュアンスを登場するたびにきめ細かく表情づけする。全体に骨太でスケールが大きいベートーヴェン。
後半は全てショパン。「幻想曲」の豊かな感情表現。ノクターン第8番作品27の2での甘さをやや抑えることから生まれる格調の高さ。「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」の貴族的な表現など、高貴なショパンが披露され、前半とは全く違う世界が展開した。
 アンコールは、リスト「3つの演奏会用練習曲」より第3曲「軽やかさ」のコーダは祈るような深さがあり、最後のバッハ(シロティ編)「前奏曲 ト短調BWV535」はオルガンの響きを持つ荘厳な演奏だった。聴衆の多くがスタンディング・オベイションでトムシッチを讃えた。

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