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2018年10月15日21:01

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我が宿命

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伊勢の田舎道を歩いていた宮本武蔵は、対立する五人の兵法者を見かける。四人に囲まれるように対峙していた鳴海八郎太なる兵法者は、隙を突いて相手を皆殺しにしてしまう。

武蔵の存在に気づいた鳴海は、柳生兵庫助の門弟と名乗った上で自分の武勇について武蔵に問う。

武蔵は相手を欺いたうえで返り討ちにした鳴海のやり方を卑怯と断じて後にする。

遊歴の末、大坂の赤壁屋に逗留することになった武蔵は、かつて仕官を勧められた本多忠刻が若くして亡くなったことを知らされる。

武蔵は忠刻から謹慎させられていた養子造酒之助が、自分の行方を捜し求め大坂にやって来ると予言する。ー「怒髪」

尾張国に入り名古屋の御城下へ立ち寄った武蔵。そこで彼は、藩士と思われる中年の男と出会う。

男の全身からは一分の隙も見出せない。尋常ではない腕前の持ち主。柳生兵庫助利厳(としよし)に違いない。

対峙する二人。問うてみると柳生兵庫助その人で、兵庫助は武蔵に出会えたことを奇縁として喜ぶ。

ぜひとも我が屋敷に逗留してほしい。兵庫助の好意に甘えて、武蔵は世話になることになる。ー「絶食」

総勢八名の無頼者であった。駿河国は藤枝にて強請りたかりをしていた中江伊賀介を首魁とする牢人たちは、その日も街道を遮って金を強請り取っていた。

地元の田舎絵師である沢井景月とその孫娘於乙が、運悪く牢人衆に囲まれてしまう。

ちょうどその場を何気なく通った武蔵。武蔵の名乗りを聞いて、一旦は怯む中江伊賀介。しかし隙を突いて、背後から斬りかかるが易々と武蔵に打擲されてしまう。

難を逃れた景月たちは、武蔵に追いすがって礼を述べる。武蔵は、その孫娘於乙に武道の心得があるようだと値踏みする。ー「殺生」

殺生に手を染めるのは、武芸者たる自分の定めかもしれない。剣を振るうことに煩わしさを感じつつも、己の生きざまを自覚する武蔵を描いた五編の物語。武芸者の因果さが伝わってくる。



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