11月1日日曜日、晴れ。
朝11時、お寺の例大祭。登壇せず、お堂の前で手を合わせて20分ほど立っていた。で、参拝者へのご祈祷が終わったタイミングでうちに戻った。
午後イチ、JR横須賀線に乗って田浦駅で下車して田舎散歩しようか、それとも3日前に近所のカメラマンから聞いた材木座文庫に行くかで迷う、30分ほどパソコンの前でぐだぐだしているうちに、電車に乗るのが億劫になってきた。駅前は大勢の観光客でごった返しているだろうし。
カメラマン曰く「古い家を借り受けて自分ちの本を並べ、いろんな人が集まれるスペースをつくったというのが材木座文庫で、子どもは無料、大人は珈琲代100円で、本を読んだり、和室で寝っ転がったりできる。引きこもり児童とか、近所の爺さん婆さんとか、いろんな人が使ってるよ」と。で、行き方を説明してくれたのだが、ひどく大雑把で、場所がわかるようでわからない。
カメラマンの説明通り、まずは水道路まで行って「ちょっと行って右に曲がって、またしばらく歩いて右に折れて……」と進むも、ちょっとの距離、しばらくの距離がわからん!
で、以前にばらしてしまった私の特技だが、テレポーテーションを使うことにした。両手を特殊な組み方で握り、「材木座文庫!」と念を入れると、1秒後に古い家の門前に我が身があった。
「本」とだけ書かれた看板があった。
玄関を開けて中に入った。
と、なんとなんとカメラマンが座っているじゃんか。
彼に軽く挨拶をして、店主とおぼしき女性に「あがりますね」と軽く会釈をした。
本があちらこちらに並べられている。私が読んだ本も複数あった。
2階もご自由に見てください、と言われて急階段を上がってみたら座敷があって、若いTシャツ姿の女性がなにやら作業をしていた。
詩集をつくるワークショップの準備だそうだ。そう言えば、いま鎌倉ポエトリーフェスティバルを開催中ですね、と言ってみたら、自分は詩が好きなのでいくつか催し物に参加したと。
私は現物の本作り制作者ではないけど本をつくってきた、などと調子に乗って自己紹介をしてみたら、一目置かれてしまって恥ずかしい展開になってしまった。
で、ふたたび階下に降りて椅子に座っていたら、カメラマンが私の経歴を店主に喋ってしまって、ここでも困ってしまった。
当たり前だが、私は詩人じゃない。頭も心も空っぽである。材木座文庫で一杯100円の珈琲を飲みながら現在読んでいる本(『アルツ村』)の続きを読もう、と思ってテレポートしてきたわけで、頭の中はどういう展開が待ち受けているんだろ、ということ以外、何も考えていない状態だ。
エクセルシオールで本を読むのと違って、ここでは難しそうだ。
ということで、カメラマンと店主の会話を黙って拝聴しつつ、この落ち着いた空間の良さを味わうことに専心した。
結局、2時間近く滞在し、帰宅の途はテレポートではなく歩くことにした。
海風を鼻先に感じた。
このあたりは夏目漱石の『こころ』の舞台となった場所だ。漱石の研究家じゃないので正確な位置は知らないが、高校1年に読んだ『こころ』の海が目と鼻の先にある、というのがなんとも不思議に思えた。
今日もいい一日になった。ラッキー。
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