３月号「短歌人」掲載歌

　　　冬日愛すべし

投げ込みといふのよこれはなつかしよ酒井佑子さん教へてくれし

棲みにしは豊島区高松　サンシャインの骨組日々に伸びゆきし頃

翻訳の技の深みに嵌りたりシルヴィア・プラス『湖水を渡って』

タンカノキミとふたむかしまへのわたくしは呼ばれき短歌と啖呵を掛けて

「組まれたら負けだよ、押して押して押して押すんだ」妻は玉鷲に告ぐ

男のくせに女ことばで詠むなんて　なあんて言ふひと嫌ひよあたし

境内に星座をなして明滅す歳晩の夜の夢のかけらは

＊１首目：「なつかしよ」に付点（だそく…例えばこのようにして「なつかしよ」を挿入するのを「投げ込み」というのだそうです。）
＊３首目（翻訳の…）詞書：高田宣子・小久江晴子訳
＊４首目（タンカノキミと…）詞書：高田宣子さん斯く命名せりき
＊５首目（「組まれたら…）詞書：テレビ桟敷

　　　　　　
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