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2024年01月15日13:41

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1/12 奈良原一高 肖像の風景@JCIIフォトサロン / 半蔵門ミュージアム

この日は、珍しく一人。地下鉄半蔵門駅を出たらすぐある二つのミュージアムをはしご。写真と仏像、どちらもハイクオリティなのに無料という嬉しさ。

まずは、日本カメラ博物館併設のフォトギャラリー「JCIIフォトサロン」へ。
このギャラリーでは」後世に残す価値のある写真を中心に、月単位で企画展を開催している。今月は、奈良原一高。
2015年には国立近代美術館で「王国」が開催されたし(こちら)、戦後日本を代表する写真家の一人なので、あちこちで展示されている。私も大好き。今回はポートレート。
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https://www.jcii-cameramuseum.jp/photosalon/2023/11/14/34351/
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美術史を専攻する学生時代に池田満寿夫、靉嘔(あいおう)らと活動していた奈良原一高は、1959年に川田喜久治、佐藤明、丹野章、東松照明、細江英公らとともに写真のセルフ・エージェンシー「VIVO」を設立し、その後、パリやニューヨークを拠点に世界各地で撮影を続け、造形的な作品が国内外で高い評価を受けました。2020年1月の逝去後も、彼の足跡を追う展覧会が続々と開催されて、その作品は多くの心をとらえ続けています。
本展では、1980年代日本の各界リーダー29名を奈良原ならではの感性でとらえた作品を、オリジナルプリント(57点、すべてモノクロ)でご覧いただきます。
このシリーズは、当初から写真集としてまとめることを考えながら『新潮45+』にて発表されました。(中略)各々の仕事場を背景にした作品は造形的で、美しさの中に被写体の生き方が表現されています。(後略)


奈良原一高らしい、斬新で「美術的」な切り取り方、モノクロ写真のコントラストの美しさに、うっとりとため息が出る。肖像写真にありがちな、撮影者の被撮影者に対する肉薄感、言い換えれば、被撮影者の内面を暴き出したような生々しさがないのだ。各界のリーダーを各々の仕事と関連するものと組み合わせて撮る形は、被写体へのリスペクトが感じられる。
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「写真は本人とは、関係はあるが、別物である。」と言い切り「被写体のフィジカルな様相の描写とその描写の手法を選ぶ写真家の心との共存が、観察力と想像力に満ちた写真の魅力ある謎を今まで生んで来たのであろう。」という奈良原の言葉に、なるほどと思う。

2月4日まで


次は、歩いて数分のところにある半蔵門ミュージアムへ。
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初めて行ったのは2018年、そのあとは、JCIIに行ったついでに、ちょっと寄ってみる程度で何回か。
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1969013237&owner_id=2083345
展示室はさほど広くないが、3階に立派なシアターがある(東博のシアターのような感じ)。最初の頃は確か1作品しか上映していなかったと思ったが、今は3作品もある。そのほか、ホールでは、作品解説のVTRが2本流れている。

12:20〜12:41 シアター「大日如来像と運慶」
*駆け込んだので、コートをロッカーに預け直してトイレ休憩(14分)
12:55〜13:20 シアター「曼荼羅」
*展示室観覧(50分)
14:10〜14:26シアター「ガンダーラの仏教美術」
*その後、すでに14:15から始まっていた「スライドレクチャー『展示品のみどころ紹介』」を15:00終了まで見て、2階の休憩室でお茶を頂く(有料のコーヒーあり)。


館内写真は不可だが、シアターでは常設展示のうち代表的なもの3点を大アップの美しい画像で懇切丁寧に説明してくれる。
「スライドレクチャー『展示品のみどころ紹介』」では、特集展示の9点を1点ずつ解説してくれる講座のVTRで、これもまたわかりやすくて面白かった。

上映スケジュールは館内でももらえるし、HPにも載っている。私はホールの上映1点(45分)を見逃したが、それでも3時間ほど滞在したことになるので、ここはついでに寄るのではなく、ゆっくり滞在したい美術館だ。もちろん展示内容もすばらしい。


https://www.hanzomonmuseum.jp/
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【常設展示】
展示品の一部をご紹介します。常設展示は、《ガンダーラの仏教美術》と《祈りの世界》で構成されています。
《ガンダーラの仏教美術》のエリアでは、2〜3 世紀ごろ作られたガンダーラ仏伝浮彫を複数展示しており、釈尊の前世や誕生、出家、悟り、説法、入滅といった釈尊の生涯をたどることができます。《祈りの世界》は、当館の中心となる展示エリアで、その中央に大日如来坐像を展示しています。不動明王坐像、両界曼荼羅とともに、静かに作品と向き合える展示空間です。2023年11月からは、如意輪観音菩薩坐像、二童子立像が《祈りの世界》エリアに新たにくわわります。

【特集展示・初公開の仏教美術―如意輪観音菩薩像・二童子像をむかえて―】
特集展示開催にあわせ、京都醍醐寺伝来の平安仏2件を常設展示《祈りの世界》エリアにくわえることになりました。如意輪観音菩薩坐像は、平安時代中期、10世紀にまでさかのぼる貴重な作例です。近時の修復で当初の面貌が明らかになりました。二童子立像(矜羯羅童子、制吒迦童子)は、11世紀末、12世紀初め頃製作された瀟洒な作品です。
さらに特集展示エリアには、大般涅槃経如来性品十四音義、北斉時代の如来像、当麻曼荼羅などの初公開の経典・彫刻・絵画を展示いたします。常設展示《祈りの世界》とあわせて、半蔵門ミュージアムの仏教美術をご堪能ください。こちらは4月14日まで



《説法印仏坐像》3世紀ごろ
いつも出迎えてくれるこのお像、ガンダーラの釈尊はイケメンだ。
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《大日如来坐像》鎌倉時代 建久4(1193)年か
運慶作ではないか、と言われている大日如来坐像。真如苑が所蔵した経緯は、この日記(こちら)に書いた。
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2017年の東博「運慶展」でもお披露目となったが、この小さな美術館の展示室(友人が「地下宮殿」と名付けたww)で最高品質のケースと照明のもと恭しく拝観するのは身が引き締まる。胎内の様子はすぐに調査したそうだが、今回はそれが原寸模型となって横に並んでいた。5色の五輪塔は鮮やかで、水晶でできた舎利と水晶珠(心月輪しんがちりん)が輝く。その下には、紐束が入った布の袋があった。「これはなんですか?」と聞きたかったが、ついつい遠慮。気になる。
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《如意輪観音菩薩坐像》平安時代 10世紀
半跏思惟のポーズの如意輪観音は珍しいらしい。普通は右膝立ちに両足裏を合わせて座るのだが、こちらは右足を左腿の上に跏し、左足を踏み下げて坐る。大変美しい。
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《当麻曼荼羅》室町時代 16世紀
表具も全て描表装。右下に描かれているのは、当麻曼荼羅を織った中将姫の肖像で、描き加えられているのは珍しいらしい。
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《倶利伽羅不動明王像》鎌倉時代 13〜14世紀
不動明王の左に描かれているのは、倶利伽羅龍に化した不動明王。剣に変じた外道を屈服させるため剣に巻きつき、飲み込もうとしている。
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《刀八毘沙門天像》江戸時代 天保4(1833)年
日本で考案された毘沙門天の異形。経典に典拠がなく、図像が一定していない。兜跋は西域、今でいうトルファンあたりで、ここに毘沙門天がその姿で現れたと言われる。その兜跋(とばつ)の字を簡略化させて刀八(とうばち)となり、8本の刀を持たせた図像ができたという説。識字率が広がった江戸時代ならではのエピソードだ。
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《虚空蔵菩薩像》江戸時代 17〜18世紀
記憶力増進に効果のある菩薩像。ただし、虚空蔵の陀羅尼を100万階唱えるること、そうすれば一度見聞きしたことは決して忘れない記憶力を身につけられると。しかも月食、日食の日、酥を食べると効果大。
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いやいや、忘れたいことの方が多くある人生ですよ(笑)忘れたいことを忘れられないのは辛い。
それにね、前に見たことがある美術品を見て、初めて目にしたと思って感動するのも又良し。

特集は4月14日まで
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