読書日記です。
・貧乏ピッツア 箸:ヤマザキマリ
奔放な食エッセイだ。イタリアに十代の頃から住んでいて、旦那がイタリア人というだけあって、日本だけで生活している人には書けない視点が感じられ、個性的だ。スパゲティに「こんなの原価100円だ」とTVで正直に言ったところ、イタリア料理店からクレームがついたという話には笑った。確かにピザもパスタもデンプンが基本の庶民食なのに、高すぎる 。
海外生活者として賛同できる部分もあれば、首を捻るところもある。「日本では世界中の料理が食べられる」という俗説は疑問である。名称だけは同じでも、本場には程遠いことが多い。たとえば四川料理の奥深い麻辣(マーラー)味は、日本ではほとんど味わえない。
筆者は欧州が基盤で酒を飲む人なので、東南アジア基盤で下戸の私には今一つ共感できない。でも食文化に対するこだわりには同意できる。コスモポリタンな食文化エッセイは読んで損はない。★★★
・コロナと潜水服 作:奥田英郎
五本入り短編集。幽霊や超自然がプラスに働くという話が多い。表題作はコロナ騒ぎの時期に、接触を恐れて潜水服で生活する。発想は面白いが、テーマが別のほうにずれていくのが惜しい。
作者にしては捻りが足りない。単純すぎる。後味の良さは評価できるかな。★★★
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