・銀幕に愛をこめて ぼくはゴジラの同期生(18)
宝田明 構成:のむみち
レトロな東宝映画を観ていると、やたらと遭遇する二枚目俳優だ。私は平凡な性癖のオッサンなので、美人は大好きだがハンサムには別に興味ない。ちょっと迷ったけど、やっぱり読んで良かった。
満州からの引き揚げ記録は凄まじい。兄の姿を探して貨車を覗いただけでソ連兵に射たれ、生死の境をさまよったそうだ。そのせいでロシアの芸術や文学は受け付けなくなったとか。無理もない。不幸な話だ。
1954年「ゴジラ」で主役デビューし、戦後黄金時代の日本映画を支え続けた。宝田明が語る思い出を、のむみちさんが資料を駆使して補完するという構成だ。東宝エンタメの全体像を明解に把握できる。映画だけでなく、70年代ミュージカルシーンの解説も詳しくてありがたい。
この人が最も得意とする恋愛映画は苦手なので、見ていない作品も多い。でもSFやコメディやアクションはほとんど見ている。50年代に香港との合作映画を三本撮っている。招かれて純粋香港映画にも出演したそうだ。ううむ、見たい。中国語が堪能だったそうだ。最後の一文は「謝々大家先生(イ門)」皆さんありがとう。
資料的価値が高く、読んで心暖まる良い本だった。
★★★★
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