タイトル未定、メモ　１

双子の妹の杏は子供の頃からピアノに夢中になり。
ユーチューバーとして食べて行きたいと言う。
学校の勉強も簡単に済ませて、今日も自宅の防音室でピアノを弾き撮影してアップしている。
実際に居るユーチューバーが活躍するのを見て、簡単に叶うと思っているらしい。
わたしは違う、特進クラスの授業を受けて。
いい大学に進み穏やかな進路を選んだ。
今日も校舎別館の園月ゼミに向かう。
園月ゼミは特進クラスの中でも更に優秀な生徒が通うことが出来る個別授業だ。
でも……何か虚しい。
園月ゼミの後でグランドを横切って歩いていると。
女子サッカー部の部長が声をかけてくる。
「そこの男子、背中が丸まっている。この学園の生徒ならプライドを持て」
その言葉に、ふと、イガイガした気持ちが生まれる。
善意でも悪意でもない。
恋心であった。
園月ゼミの生徒であるわたしが恋？
ふぅー、茶番だ。
まるで、双子の妹がピアノでバズるほどのことだ。