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2022年12月31日08:32

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キスの甘さは天国まで忘れない。最後はあなたの腕の中で 15

今日はサーレットさんが半日で帰ってきた。
何かの手紙を持っている。
「ニュースだ、この街の医術会が魔導結晶化症の手術を始めたらしい」
「え、ホント?」
「ああ本当だ、ただ、多額のお金がかかる」
父親も隣にいて、腕を組み考え込む。
「すまない、家に余分なお金は無い」
皆がふさぎ込むと……。
「僕が借金をします。炭焼き窯で働けば一年で返せる金額です」
サーレットさんは迷い無く借金の提案をする。
それは、旅をして賢者としての力を高める事を諦めることになる。
「ありがとう、サーレットさん」
「お礼はいい、成功率の低い手術だ、残り短い時間を早めてしまうかもしれない」
その言葉にわたしも決意が必要だと感じる。

数日後、この街の医術会の総本部に来ていた。サーレットさんは重い金貨の袋を持ち、改めて、サーレットさんが本気であることを感じていた。
それから、わたしは最上階の病室に入院して手術の時を待つ。
入院初日は検査、検査が行われた。
不安な日々が続き、手術の日が近づく。
当日になるとサーレットさんが来てくれた。
「サーレットさん、さっき麻酔を飲んだの、次、目覚めたらキスしてくれる?」
「ああ、アリータ、愛している」
薄れ行く意識の中で生きることを誓った。
―――1年後……。
わたしは生きていた。
サーレットさんがした借金は返し終わり。
旅に出ると言う。
「アリータ、一緒に旅をしてくれないか?」
「はい」
それはプロポーズであった。
わたしの体は健康になり旅ができるのであった。
世界が待っている。
これからもサーレットとの日々が続くのだ。

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