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2022年10月02日09:40

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求めるは真実の青 11

そして……。
職員室の中で教育実習生が紹介されている。
「目標確認、予定通り、作戦Aでいく」
亜夢からのスマホで連絡が入る。
「よし、出発だ」
わたしは旧美術室から小会議室に向かう。
毎年、この小会議室は実習生の控室になっているのだ。
「あのー梶浦先輩いますか?」
「僕に何の用だい?」
わたしはもじもじしながら。
「わたし、美術部の後輩です、二人だけでお話がしたいの……」
「おおお、わたしのファンだね、卒業しても、この梶浦の輝きは失われていないか」
「ささ、美術部に向かいましょう」
「あれ?美術室は移動になったと聞いたが?」
「勿論、二人きりになる為です」
「そうか、そうか」
「はい、梶浦先輩」
でれでれの梶浦は五階まで上がり旧美術室の中に入る。
『カチ』
わたしがカギをかけると、カーテンが突然閉まる。
「うん?」
次の瞬間、山の様に積まれた油絵から血が飛び出す。
何だ?絵具?違う、血だ!
そこで紅崎が登場して『死にたい?死にたい?』
「お前は確かイジメ過ぎて自決した紅崎!」
『そうです、冥界からの扉は開きました、あなたは死ぬのです』
「アガガガガ」
生臭い血の臭いが立ち込めて、梶浦もどす黒い色に染まっていく。
「助けてくれ、助けてくれ」
自力でガキを開けると小会議室に置いた荷物も持たずに高校から逃げ出した。
「やった、作戦大成功」
亜夢とグータッチをして、紅崎ともグータッチをする。
「あれ?紅崎さんの左腕がある」
わたしがキョトンとしていると。
「わたしの無念が終わったのです」
そうか……。
ひょっとしてお別れ?
わたしの問に紅崎は顔を横に振る。
「きっと、もっと絵が描きたいのですよ」
「絵か……わたしも描きたい」
『あおいろ』と書かれた絵具を取り出す。
これからも沢山絵を描こう。そして、わたしの青はこれだと思うのであった。

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