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2022年06月29日12:28

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6/26 常設展@国立西洋美術館

「人と自然のダイアローグ」展でかなり疲れていたが、待ちに待った西美、観て帰らぬわけにはいかぬ。細かい「版画素描展示室」は諦めて、新収蔵品など中心に見る。
近美では企画展が混んでいても常設展はガラガラなのに、西美は常設も人が多い。ずっと休館だったからか?

アルバム作りました。
https://photo.mixi.jp/view_album.pl?album_id=500000120574343&owner_id=2083345

その中から、気になった作品を。

【Collection in FOCUS】
1959年にフランスより寄贈返還された松方コレクションを展示する場として設立された国立西洋美術館。当時は19世紀以降の近代作品が全てであった。その後、1968年2代目館長山田智三郎の時より遠く古い時代のヨーロッパ各地の芸術品をも積極的にコレクションするようになったという。ここにくれば、西洋美術の歴史が学べるのは、そんな大変革があったからだとあたらめて知る。

1968年の収蔵品は…
14世紀シエナ派《聖ミカエルと龍》
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フランチェスコ・サルヴィアーティに帰属《ある男の肖像》
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ルカス・クラーナハ(父)《ゲッセマネの祈り》
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【Collection in FOCUS】
ヴィルヘルム・ハマスホイ《ピアノを弾く妻イーダのいる室内》
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エヴァリスト・バスケニス《楽器のある静物》
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時代も地域もかけ離れた二人の作品だが、どちらも楽器が描かれながら、その音や響きを一切感じさせない、独特の静けさを漂わせる絵。
バスケニスは「地方に閉じこもっていたイタリア生まれのフェルメール」と喩えられ、ハマスホイも「デンマークの/北欧のフェルメール」と称された。それは、ただ作風のせいだけではなく、フェルメールのように、中央とかけ離れた場所で活躍し、没後に高い国際的評価を受けた点が共通しているからだという。
教科書では歴史的に認知された芸術家を知ることができるが、歴史の中に埋もれていた芸術家が再評価されたのをいち早く知る事ができるのが美術館だ。美術館、ありがとう。


ドメニコ・プーリゴ《アレクサンドリアの聖カタリナを装う夫人の肖像》
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キャプションに「パトリック・マティーセン氏より元主任研究員、故・大屋美那氏を偲んで寄贈」とある。
大屋美那氏は東文研アーカイブスデータベースによると「フランス近代美術史研究者であり、国立西洋美術館主任研究員。松方コレクション研究のため訪れたフランス・パリで急性骨髄性白血病を発症し、2013年6月聖ルイ病院で急逝した。享年50。」「フランスの主要紙『ル・モンド』に訃報記事が掲載され、フランス側の美術関係者からも追悼の意が寄せられた。」
パトリック・マティーセン氏については、検索しても出てこなかったが、この作品の裏には彼と大屋氏の間に深い親交ががあったのだろうと、思いを馳せてしまった。これまであまり気にしていなかった作品の所蔵経歴にはさまざまなドラマがあるようだ。


【新収蔵作品】ベルナルト・ストロッツィ《聖家族と幼児洗礼者聖ヨハネ》
この作品は第2次大戦中ナチスがユダヤ人のコレクションから不当に収奪したが、1999年元の所有者の遺族の手に渡り、その後所有者の変遷を得て2020年に西美が収蔵したという。
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フランシスコ・デ・スルバラン《聖ドミニクス》
2019年購入。左右辺と下辺に後代の手によりカンバスが追加された跡がある。  
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【新収蔵作品】アドルフ・ピエール・ルルー《鵞鳥を連れた子供たち》
初めて名前を聞く画家。優しいタッチだ。
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【新収蔵作品】ジョン・エヴァレット・ミレイ《狼の巣穴》
グランドピアノを狼の巣穴に見立てて遊ぶ子供たちを描いたもの。
本作は旧松方コレクション。1920年頃に松方が購入し、日本に持ち込むが、コレクション散逸期に売り立てられる。2020年に国立西洋美術館が購入。
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同じく旧松方コレクションである《あひるの子》と並んで、感無量。
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シャルル=ルネ・ド・ポール・ド・サン・マルソー《マリー・バシュキルツェフの胸像》
マリー・バシュキルツェフはウクライナ生まれの画家、彫刻家、日記作家。25歳の若さで逝去。大半の作品はナチスドイツによて破壊されたが、女性芸術家として鋭い感性と知性で書かれた日記は高く評価されているらしい。
美しいが、意志の強そうな面差し。この時代に生きていたなら、今のウクライナ侵攻についてどんな日記を書いていただろう。
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募金活動のお知らせも
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そういえば、SOMPO美術館も所蔵品ゴッホ《ひまわり》にちなんで、ウクライナ支援の募金活動をしていた。


【初展示作品】ヨゼフ・イスラエルス《タバコを吸う老人》
旧松方コレクション。日本に持ち込むが、コレクション散逸期に売り立てられ、その後国内に所蔵され、2017年に国立西洋美術館が購入。
イスラエルスは、オランダ「ハーグ派」の画家。
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【初展示作品】フランク・ブラングィン《木陰》
ブラングィンは英国の画家で、ロンドンで美術品収集を開始した松方と親しく交流。松方から、自作の売却、共楽美術館のデザイン制作、他の画家の作品の購入の代理を依頼され、協力している。「自然と人のダイアローグ展」ではブラングィンが描いた《共楽美術館俯瞰図》の展示があった。
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アンドレ・ボーシャン《アルクマールの運河、オランダ》
この絵がここにあったのは覚えていたが、アンドレ・ボーシャンだったのかぁ〜と迂闊にも声をあげる。東京ステーションギャラリーで「牧歌礼讃/楽園憧憬 アンドレ・ボーシャン+藤田龍児」展(こちら)を見たばかり。なるほど、ル・コルビュジエが見出した画家だから。東京ステーションギャラリーの展示を見なかったら、今回も通り過ぎていた。相変わらず、自分の目は節穴だな(笑)


ご紹介したい作品はもっとありますが、この辺で。

アルバムです。
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