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2021年12月10日03:42

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義足のボーイ・ミーツ・ガール 50

『独りににしないで……』
また、夢落ちか?
少女の声が聞こえた。それは寂しい呟きであった。
朝の日差しが窓から差し込んでいた。
わたしは携帯を確認する。アラームまで十分前か……。
更に携帯を見てみるとクドーさんからメッセージ来ていた。
内容は昨日の海に連れて行ってくれて、ありがとうと言う。お礼であった。
わたしはバスの中でクドーさんの闇を聞いた事を思い出していた。
両親の仕事一番とのネグレクトである。
このメッセージも孤独の中で書いたのであろうか?
うん?添付画像もついている。
浜辺でのわたしとさおりんに陽美々の写真だ。
いつの間に撮ったのであろう。
わたしはクドーさんのお礼のメッセージを読み返す。
今、必要なのは何だ?
クドーさんは心を開いてくれた。わたしはクドーさんにメッセージを送る事にした。
『陽美々だけじゃない、わたしがいる。独りでいるなら、わたしがいる』
ああああ、送ってしまった。
わたしはクドーさんの孤独を癒せると言うのか?
クドーさんの闇に対してわたしのできる事の少なさに自己嫌悪が始まる。
そして、返事は直ぐに来た。
『ありがとう。お前、ホントに素直だな、陽美々が惚れる訳だ。この孤独は一人じゃない』
『この孤独は一人じゃない』か……クドーさんらしい。
わたしはもう一度、メッセージを送る事にした。
内容は昨日の海の話にした。
そう、クドーさんは、もう、独りではないのだから。

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